アプリケーション・ノート:銅クラッドアルミ(CCA)ケーブル|www.flukenetworks.com/jp

アプリケーション・ノート:銅クラッドアルミ(CCA)ケーブル

DSX-5000 テスト

はじめに

ネットワーク機器業界では、銅クラッドアルミニウム(CCA)、銅被覆鋼、およびその他の規格外の導体が使われる多導体通信ケーブルが数多く存在し、それらがカテゴリー 5e あるいはカテゴリー 6 ケーブルを装っているという懸念が高まりつつあります。

これら規格外の、しばしば偽造のケーブル製品が市場に出回っていることは、それらを使用する会社に限らず、顧客のネットワーク環境にこれらを設置するケーブル配線業者や技術者に深刻な問題をもたらす可能性があります。

これら製品は見た目が標準のケーブルに見え、場合によっては標準ケーブルのように機能することがあるものの、ネットワークの問題や安全上の危険を生じさせる大きな違いが両者に存在します。

偽造ケーブルの存在は、業界で新たに浮上する問題ではなく、専門家によると、偽物あるいは規格外のケーブル製品は、何年も市場に出回っているとのことです。これは業界にとって、なかなか解決しない根強い問題となっています。その理由の一つに、企業の多くが安価なネットワークソリューションを探し求め、これらケーブル製品は比較的安いということです。

これら規格外製品を特定する従来の方法では、不十分といえます。業界が CCA やその他の規格外のケーブル製品の問題に効果的に取り組むには、新たな手段が必要になってきています。

フルーク・ネットワークスのテスティング・ソリューションは、このような製品を正確に識別できるものと期待されます。同社のソリューションは、偽造ケーブル製品をボタンのひと押しで即座に識別できるわけではないものの、フルーク・ネットワークスには、組織がより簡単に基準以下の製品を見分けられるように、識別能力を向上させる確固たる意思があります。

業界で進行中の問題

CCA ケーブル製品はこの数年間市場に出回っており、これはお金を節約したい企業が、より安いケーブルを求めていることが主な原因です。アルミニウムは銅より安価であるため、当然 CCA ケーブルも純銅製品よりも安くなります。そのため、予算が厳しいバイヤーの多くにとっては、割安なケーブル製品の方が魅力的に見えてしまうのです。しかし彼らは、手にしているケーブルが、規格に準拠した信頼できる銅ケーブルではないことに気付いていないのかもしれません。

「卸売業者や販売業者が販売するこれら製品をインターネットで見つけることは難しくありません」と、Communications Cable and Connectivity Association (CCCA) エグゼクティブ・ディレクターの Frank Peri 氏は述べています。CCCA は、高品質な通信ケーブル、接続デバイス、および関連製品について、ベストプラクティスや教育情報を提供する組織です。 供給業者は、規格準拠製品よりも大幅に安い価格で、規格外ケーブル製品を提供しています。規格準拠と規格外の両方のケーブルを販売している会社もあります。Peri 氏は、業種や用途によっては、CCA が認められ、適している場合もあるが、CCA が適さない場面でこれを使用することが、取り上げなければならない問題であると指摘しています。

よくある問題

偽造ケーブルの市場性を数値化することは難しいが、CCA ケーブルの販売業者数は、大きな懸念となり得るほどかなりのシェアを占めていると Peri 氏は考えます。「巨大な通関手続地であるロングビーチ [カリフォルニア州] を擁する西海岸 [米国] で、これら製品を見かける可能性が高い」と Peri 氏は述べます。

この問題に精通する信頼できるソースによると、特定の卸売業者および販売業者により、カテゴリー 5、5e および 6 を装った約 300 キロ相当の CCA ケーブルが、英国で毎月販売されていると、e-Ready Building Ltd の代表取締役社長および Fibreoptic Industry Association (FIA) のテクニカル・ディレクターを務める Mike Gilmore 氏は言います。同氏は、英国、欧州、およびその他の地域において、電気通信施設およびインフラの設計、実装、および運用の標準化に関わっています。

「これらケーブルは一般的に、データ市場ではなく、電気製品の卸売市場を通して販売されているため、問題が発生して初めてこれらケーブルの存在を知ることになります」と、Gilmore 氏は言います。

Gilmore 氏は、CCA ケーブルの需要は、ケーブル製品のコモディティ化とデータケーブル配線業界の「単純作業化」が原因と見ています。「明らかに今は、電気工事の請負業者が、小規模なデータケーブル配線作業の多くを請け負っており、彼らは非常にコストを優先します。」「卸売業者もこれを知っており、多くの場合、設置は「業界標準」のテスト装置で試験されないため、手遅れになるまで問題を発見できません。」

偽造ケーブルの問題に対処すべく、業界ではさまざまな取り組みが進んでいます。例えば、2013 年の 11 月には、CCCA と情報、教育、および知識評価でもって IT システム(ITS)業界をサポートする団体の BICSI が、偽造および規格外ケーブルを阻止するための国際的な取り組みを共同で実施することを発表しました。

BICSI プレジデントの Jerry Bowman 氏によると、ITS 業界の利害関係者は皆、偽造・低水準の製品の影響を受けているとのことです。「サプライチェーンの誰もが、購入または設置する製品が安全および品質の基準や規制に準拠するように注意義務を果たさなければなりません」と、Bowman 氏は言います。「偽造製品が設置されると、性能の問題以上に、職場の安全を脅かし、消費者を危険にさらすというより重大な問題が生じます。」

CCCA は、消費者が騙されて偽造あるいは宣伝される基準を満たないケーブル製品を購入しないようするため、ITS の消費者や米国警察当局の教育においてかなりの進展を遂げてきたと、Bowman 氏は付け加えます。Bowman 氏いわく、CCCA の業務は BICSI の定款とは異なるものの、CCCA 会員のケーブル製造業者や販売業者は、これら品質問題と安全問題の業界監視役を果たすために団結しているとのことです。

Peri 氏は、CCCA と BICSI のリーダーシップが一丸となり、業界を世界規模で脅かし、公共の安全に危険を及ぼす偽造ケーブルを排除すべく、国際取締機関を教育していることは、「素晴らしき模範」と呼んでいます。

Peri 氏は、次のように述べています。「銅クラッドアルミ製品が、事実と反しているにもかかわらず、北米において、低圧通信の規格・基準の適合製品として販売されていることは非常に不幸なことです。これらケーブルが、パワー・オーバー・イーサネット機器で使用される場合には、特に問題です。基準を満たさないため、カテゴリーケーブルと呼ぶべきではありません」。米国電気工事規程、UL 444、CSA 22.2、および TIA 568C.2 などの規格では、多導体通信ケーブルに純銅導体を用いなければなりません。

CCCA によると、CCA 導体で作られたケーブルは、米国電気工事規程(NEC)の安全基準を満たしておらず、CM、CMG、CMX、CMR、または CMP 定格のケーブルが必要とされる建物内に合法的に設置できません。この種のケーブルを設置することでもたらされる結果は、ネットワーク性能の低下と安全上の潜在的危険性です。

場合によっては、偽造ケーブルの設置は法的リスクを伴うこともあります。CCCA は、『Potential Liability for Contractors Installing or Manufacturers Marketing Falsely Labeled Copper Clad Aluminum Cable』(工事請負業者および製造業者による虚偽の表示が付けられた銅クラッドアルミケーブルの設置または販売の潜在的責任)と題されたホワイトペーパーを公開しています。同書は、米国電気工事規程(NEC)で明らかに認められていない通信ケーブルを使用することによって設置業者が負う法的リスクについて、業界を教育することを目的としています。

CCCA の調査によると、請負業者の多くが、CCA 導体で作られたカテゴリー 5e または 6 としてマークされたケーブルを、NEC の耐火基準を満たす必要がある領域に合法的に設置できないことを知らないようです。CCCA によると、米国のすべての州および地方自治体の法に事実上組み込まれている米国電気工事規程は、建物、住居、およびその他の構造物に設置されるケーブルの要件を定めています。CCA 導体で作られた多導体通信ケーブルを、壁の裏側や閉ざされた空間に設置することは、米国内のあらゆる管轄区域の条例違反となる可能性が高いそうです。管轄区域によっては、建築基準法の違反は、多額の罰金または懲役刑をの対象となります。

これらケーブルのもう一つの問題は、直流抵抗の増加により、PoE 用途をサポートしていないことです。純アルミケーブルは、同じ直径の銅ケーブルよりも抵抗が 55% 大きいのです。抵抗が大きいということは、ケーブルの発熱量が大きくなり、電源供給デバイスに提供される電圧が低くなることを意味します。規格準拠の純銅ケーブルの場合、ケーブルをバンドルした時のの抵抗熱を考慮し、高電流用途においては、より低い周辺温度が仕様になっています。IEEE 規格 802.3 の条項 33.1.4.1 には、「タイプ 2 での稼働時、すべてのケーブルペアに電気的負荷が加えられる場合、ケーブルの最高周囲動作温度が 10 °C 低くなければならない」の要件を定めています。しかしこれは、より発熱量が大きい CCA ケーブルを考慮していません。

CCA ケーブルの識別方法

偽造ケーブル製品を見破るには、いくつかの方法があります。一つは、ケーブルボックスの重さを量ることで CCA ケーブルの存在を検査する方法です。アルミニウムは銅よりも軽いため、CCA ケーブルのボックスは純銅のケーブルボックスよりもかなり軽くなる傾向があります。

一方で、CCA ケーブルベンダーはこれを知っているため、純銅ケーブルのように重く感じさせる目的で、「重り」がケーブルボックスに入れられているという設置業者からの報告もあります。さらに、純銅ケーブルの重さとあまり変わらない CCA の重いバージョンも登場しています。

「ボックスの重さを量る方法は、絶対確実ではありません」と、Peri 氏は言います。CCA を識別するより効果的な方法は、ケーブルを切り取って導体を露出させ、ナイフを使って銅の被覆層を削り取ることです。中に銀色が見えれば、アルミの存在を意味します。

偽造の疑いがあるケーブルが新しければ、削り取る方法が有効と言えます。しかし、すでに建物内にケーブルが設置され、会社がその性能に満足していない場合、ケーブルを切り取るのは容易ではなく、ほとんどの会社にとっては、望ましい手段ではないでしょう。

偽造ケーブルを見破る他の方法として、ケーブル試験がありますが、CCA ケーブルの ANSI/TIA または ISO/IEC 認証試験を現場で行っても、CCA ケーブルであるかどうかが判別できない場合があります。ANSI/TIA-568-C.2 規格の認証試験は、平衡ツイストペアケーブルの現場試験器および測定に関する ANSI/TIA-1152 要件に基づいており、同試験では直流抵抗の測定は必要とされません。TIA が直流抵抗の現地試験を義務付けていても、CCA ケーブルの発見は保証されません。

これは、直流抵抗のリミット値が定められる ISO/IEC の現場試験結果で実証されています。71 m(233 フィート)未満のクラス D チャネル・リンクの CCA ケーブルは、ほぼ間違いなく試験を通ることでしょう。なぜならば、直流抵抗のテスト・リミット値が、チャネルの長さに関係なく、 25 オームに固定されているからです。

一見したところ、解決策は明白です。直流抵抗を現場試験の要件にし、長さに基づいてリミット値を割り当てることです。実際、長さの測定に伴う不確実性により、規格に準拠したリンクが故障する可能性が高まります。現場からの限られたデータによると、長さを問わず、CCA ケーブルは直流抵抗の不均衡試験に合格しません。このパラメータは、ANSI/TIA と ISO/IEC の両ケーブル規格に加え、IEEE 規格でも見つけることができます。

これは、フルーク・ネットワークスの Versiv DSX CableAnalyzer があれば測定できます。DSX-5000 は カテゴリー 6A およびクラス FA の銅線ケーブル認証試験の効率を向上させます。CCA ケーブルの直流抵抗不均衡をテストしたフルーク・ネットワークスは、明らかにこの値が仕様を超えていることを確認しています。

抵抗不均衡測定により、ペアとなる両ワイヤーの抵抗が同じであることが実証されています。つまり PoE 用途において、同じ電流量が流れることを意味します。上記の例でお分かりになる通り、ペア線で測定されるループ抵抗に基づいて、各ペアの抵抗不均衡のリミット値が計算されます。

しかし、これには問題点があります。ISO/IEC 11801:2010 は、チャネルおよびパーマネント・リンクの直流抵抗不均衡のテスト・リミット値を定めている一方で、ANSI/TIA-568-C.2 はチャネルのリミット値しか定めていません。

DSX CableAnalyzer のテスト・リミット名 直流抵抗不均衡 (Ω)
チャネル パーマネント・リンク
TIA Cat 5e パーマネントリンク (+PoE) >0.20 または 3.0%
TIA Cat 6 パーマネントリンク (+PoE) 0.20 または 3.0%
TIA Cat 6A パーマネントリンク (+PoE) 0.20 または 3.0%
ISO11801 PL クラス D (+PoE) 0.20 または 3.0% 0.15 または 3.0%
ISO11801 PL クラス E (+PoE) 0.20 または 3.0% 0.15 または 3.0%
ISO11801 PL2 クラス Ea (+PoE) 0.20 または 3.0% 0.15 または 3.0%

現場試験の標準である ANSI/TIA-1152 が見直されている今、CCA ケーブルの問題に対処し、IEEE PoE 要件を満たすためのより高い保障性を提供するために、直流抵抗の不均衡を現場試験の対象の一つとして定義し、ANSI/TIA-568-C.2 またはその改訂版の ANSI/TIA-568-D.2 でテスト・リミット値を設ける正当な理由があると言えるかもしれません。

買い手はご用心

偽造ケーブルの存在と CCA を識別する方法を業界に知れ渡らせる取り組みにもかかわらず、依然としてネットワークケーブル市場における深刻な問題として残っています。

潜在的に重大な問題や法的な影響を避けるため、企業は予算に関係なく、信頼できる標準ケーブル製品を使用することが大切となります。予算を守るために、安価なケーブルを購入・設置する衝動は、非常に大きいと言えます。しかし、これは「買い手ご用心」の典型的なケースと言えます。

規格外製品の設置は「廉価」であるため、通常の慣行で求められる試験が行われないことがよくあると、Gilmore 氏は語ります。「ケーブル設置が完了してから数週間が経過し、一番最初に気付く点は大抵、接続の信頼性問題です。」

フルーク・ネットワークスは、この問題を解決する唯一かつ全網羅的なソリューションが今日存在していなことを理解したうえで、直流ループ抵抗に焦点を当てた長さに依存するパラメータを既存規格の要件として実際に呼び出す試験体制の開発に取り組んでいます。

「欧州において、私は 10 年前にケーブルの国際規格および欧州規格に盛り込まれた長さ依存のリミット値の存在について、設置業者とそのクライアントに啓蒙し続けてきました」と、Gilmore 氏は言います。「そのため、フルーク・ネットワークスの現在の取り組みに非常に満足しています。」

フルーク・ネットワークスは、ケーブル試験市場のリーダー的存在として、この問題に取り組む経験と専門知識を持っています。

 
 
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