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ホワイトペーパー:光ファイバー・エンサークルド・フラックス・ラウンド・ロビン・テスト

本ホワイト・ペーパーでは、光ファイバー・エンサークルド・フラックス (EF) を計測するために設計された装置の現状を確認するために開始された、 19 か月間にわたるラウンド・ロビン試験の結果を解説します。EF は極めて厳しい励振条件であるため、不確実性の低い測定を行うことができる精度をもったEF 装置はできないだろうという、懐疑的な見方が一部にはありました。数年前に IEC SC86B 内で同様のテストが行われ、そのデータによると、モーダル励振装置の一部は EF テンプレートから外れた計測結果でした。しかしながら、そのテスト機器は正しく校正がなされていたかどうかは明らかではありませんでした。新たに行うラウンド・ロビン・テストの目的は、EF 計測装置のばらつきを測定すること、また、この種の計測に関する信頼度を提供することにありました。

    目次

  • はじめに
  • テストの手順
  • 目的
  • データの解説
  • 長期的なドリフト
  • 850 nm 50 μm のテスト結果
  • 概要
  • まとめ 
光ファイバーのエンサークルド・フラックスのバナー

はじめに

マルチモード光ファイバー光源のエンサークルド・フラックス (EF) 励振は、引き続き標準委員会や、装置のサプライヤーおよびユーザーの間で積極的に採用されています。TIA ワーク・グループの TR42.11 は、広範なラウンド・ロビン・テストを開始しました。これは、多くの参加当事者や IEC および ISO 小委員会の会員の大方の関心を引きました。

このラウンド・ロビン・テストは、EF を計測するために設計された装置の、現在の状態をチェックするために開始されました。EF は非常に厳しい励振条件であるため、EF 測定装置には不確実性の低い測定を行うために必要な精度はないだろういう考えが一部にはありました。数年前に IEC SC86B 内で同様のテストが行われ、そのデータによると、モーダル励振装置の一部は EF テンプレートから外れた計測結果でした。しかしながら、そのテスト機器は正しく校正がなされていたかどうかは明らかではありませんでした。新たに行うラウンド・ロビン・テストの目的は、EF 計測装置のばらつきを測定すること、また、この種の計測に関する信頼度を提供することにありました。

ラウンド・ロビン・テストは 19 か月以上の間行われました。テスト・サンプルは、北米、ヨーロッパ、日本の企業を代表する 14 人の参加者によって評価されました。調査では、5 種類のニアフィールド励振計測装置を使用しました。

ラウンド・ロビン・テストでは、テスト・サンプルとして、LED からなる 2 波長の光源を 2 つ使用しました。これらのテスト・サンプルは、ローンチラウンド・ロビン・テストにおける EF 測定装置間の偏差を測定することであったため、それ自体が校正のなされた EF 規格準拠の励振状態を表すことは意図していませんでした。

テストの手順

テスト中に使用した LED 光源は、2 波長 850/1300 nm の「結合器」を含む生産ユニットでした。2 つの光源のそれぞれは、50 µm または 62.5 µm 光ファイバー・テスト・コードのいずれかで使用できます。光ファイバー・テスト・コードの長さは 1 メートルで、取り外しができないようしっかりと光源のバルクヘッドに取り付けられました。機器は、1 つは 50 μm、もう 1 つは 62.5 μm に設定し、テスト・コード同様に試験のプラットフォームに取り付さられました。計測中は、テスト・コードの限られた短い部分のみを操作しました。テスト・コードに装着された「エアー・ターン」は、調整されたモード・フィルターとして機能しました。モード・フィルターは「調整」されているため、850 nm が EF テンプレートのターゲットに設定されました。1300 nm の特性が EF テンプレート内に入りましたが、ターゲットからのオフセットがありました。これは、EF 測定装置に 850 nm と 1300 nm で別々のイメージング・システムを用いている場合に生じることがあります。

試験の参加者は、以下のように、EF のさまざまな事例ののデータを収集しました。50 µm のケーブル配線に 850/1300 nm、そして 62.5 µm のケーブル配線に 850/1300 nm。簡単にするため、また、50 µm のケーブル配線データの方が興味深いため、そのデータのみを本ホワイト・ペーパーに掲載します。それぞれの参加者は、測定を 3 回行う必要がありましたが、最終解析時には平均値を使用しました。

コントロールとして、光源は常に、「基準テスト・ベンチ」と呼ばれる元の場所に戻しました。ここでは、再確認やバッテリー交換などを行いました。光源が参加者に送られて参加者が計測を完了し、データが収集された後、光源は返却されました。EF 基準テスト・ベンチは、北米に 1 つ、そしてヨーロッパに 1 つありました。基準テスト・ベンチの各地の測定値は、ベースラインを確立するために使用されました。

目的

ラウンド・ロビン試験の目的にはいくつかの要素があります。前述したように、主な理由は EF 測定装置における相違を評価することでした。2 つ目の目的は、根本原因を特定するために測定の例外と外れ値の観測にありました。3 つ目の目的は、テスト機器を現場で使用する際にネットワーク減衰測定に自信を持つことができるよう、EF 測定の信頼度を得ることでした。4 つ目の目的は、全参加者の測定値の平均値についての不確実性を解析し、不確実性の原因は測定にあると特定することでした。

データの解説

ラウンド・ロビン試験から曖昧性を減らし、テスト・サンプルのばらつきを排除するために、テスト結果が正規化されました。つまり、参加者のテストは、サンプルの参加者への送付に先立ち、実行されるベースライン・テストに相対化されました。ベースライン・テストは、EF テンプレートの大きさに対して、境界値としての新しい EF 目標値を設定するために使用されました。100% と -100% の境界は、実際の値ではなく、EF の最高値から最低値の間の広がりを示しています。

EFLΔ と EFUΔ は、EF テンプレートの EF ターゲット(現在ベースライン・テストに置き換わっている)に相対する大きさを示しています。ベースライン #5 は、サンプルを参加者に送る前に実行されるテストです。テスト #5 は、参加者による実際のテストです。また、事後テスト #5 は、参加者 #5 からの返却後にサンプルで実行されるテストです。この例では、参加者 #5 の測定結果は、EF テンプレート内にとどまっています。詳細については、図 1 をご覧ください。

ベースライン・テストの前後を比較したテスト結果

図 1 – ベースライン・テストの前後で比較したテスト結果

長期的なドリフト

ラウンド・ロビン試験の初期に、サンプルでのドリフト現象が観測されました。試験の手法は正規化された測定値を使用したため、ドリフトはデータには含まれませんでした。これは、結果が歪む可能性があったためです。独自のテストから、テスト・コードで使用する 3 mm のジャケットが収縮していることがわかりました。

この収縮は、何週間にわたり高温にした恒温室内で再現されました。この収縮のため、テスト・サンプルの最初の設定より多くのモード・フィルタリングが生じました。図 2 は、9 か月間の EF 特性の変化を示しています。元のテスト・サンプルは、2 本の点線の中心で EF ターゲットに設定されていました。EF テンプレートになじみのない方のために、図 2 では 20 µm と 22 µm のテンプレートしか示していません。これは主に、テスト装置を使用して実行する損失測定に影響する範囲です。

9 か月間のサンプルのドリフト

図 2 – 9 か月間のサンプルのドリフト

850 nm 50 μm のテスト結果

簡潔にするために、本ホワイト・ペーパーでは一部のデータを割愛しています。図 3 は、最も興味のある分野として、50 µm のケーブル配線の 850 nm の全データを集めたものです。平均値を示すため、また、結果の分布に基づいて 1 つの標準偏差帯を示すために、14 のテストをすべて 1 つのグラフにまとめました。ある標準偏差は、すべての EF 測定がテンプレート内にある 75% の信頼度を示しています。

ラウンド・ロビン・テスト中は、参加者の測定結果は全員 EF テンプレート内にとどまっていました。しかし、参加者の分布が変化したため、標準偏差が上昇しました。

図 4 は、平均値と 2 つの標準偏差を示しています。2 つの標準偏差は、EF の結果が標準偏差のリミット値内にある 95% の信頼度を示しています。20 µm の基準点では、2 つの標準偏差の点線はわずかに EF テンプレート外にあることに注目してください。この量は、配線の減衰量測定時の 1.8% の不確実性を示しています。

テストの平均値と 1 つの標準偏差

図 3 – テストの平均値と 1 つの標準偏差

テストの平均値と 2 つの標準偏差

図 4 – テストの平均値と 2 つの標準偏差

概要

2 つの LED 光源について、EF を測定できるさまざまな機器を使用して 14 人の参加者がテストを行いました。それぞれの参加者は、最初のベースライン・テストの短い時間内にテストを完了しました。テストはすべて、ベースラインをゼロに設定することにより正規化されました。基準テスト・ベンチは、2 か所で使用されました。遅延 EFドリフト応答が観測されました。その原因は 3 mm のジャケットの温度効果でした。参加者は全員 EF テンプレート内にとどまりました。平均的な EF の結果は、うまく EF リミット値内でしたが、テストの分布が緊密にグループ化されていませんでした。このため、シグマ値が 2 つとなりました。EF の平均値と 1 つの標準偏差(75% の信頼度)を使用すると、参加者全員の測定結果が EF テンプレート内でした。2 つの標準偏差(95% の信頼度)については、1 つの基準点(850 nm/50 µm で 20 µm)でさらに 1.8% の不確実性がありました。

まとめ 

実務的な用途向けには、不確実性に妥当性があれば、 EF 測定を行うことができます。また、標準偏差の範囲が 2 つあり、わずかにテンプレート外であるという結果であっても、EF はモーダル出力分布 (MPD) などの以前の標準よりはるかに優れています。ただし、EF をテンプレートのターゲットに合致させることは不確実性に大きく依存することを考慮する必要があります。よって、50 µm のケーブル配線で 850 nm に集中する確固たるケースとなります。ただし、今回の EF 規格で波長やファイバーのコア径に関して、規範的要件と情報要件を区別しません。

EF 測定結果の分布は、校正、ユーザーのスキル、装置の種類、IEC 61280-1-4 に適合していないことなどの要素と関連している可能性があります。校正やトレーサビリティを改善して系統的な不確実性が向上すれば、標準偏差が向上します(分布の抑制)。今回の EF 機器は、精密なアーチファクトを使用して校正していますが、国立標準機関のトレーサビリティに依存していません。

エンサークルド・フラックス規格準拠のソリューションの詳細については、www.flukenetworks.com/dtxefm をご覧ください。

フルーク・ネットワークス Seymour Goldstein、 2012 年12 月

 
 
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