マルチファイバー・プッシュオン(MPO)コネクター

概要

マルチファイバー・プッシュオン(MPO)コネクターとは、複数の光ファイバーで構成されるファイバー・コネクターのことをいいます。MPO コネクターは、2 本以上のファイバーを持つアレイ・コネクターと定義されるものの、データセンターや LAN アプリケーション用に 8 芯、12 芯、または 24 芯が一般的です。他にも 32 芯、48 芯、60 芯、72 芯のファイバーもありますが、これらは通常、大規模な光スイッチ内の特殊な超高密度マルチファイバー・アレイで使われます。

MPO コネクターの代わりに、MTP コネクターの用語が使われる場合もあります。MTP は、US Conec 社の MPO コネクターに使われている同社の登録商標です。MTP コネクターは MPO 規格に完全準拠しており、US Conec いわく、パフォーマンス向上のために高精度に作られた MPO とのことです。MTP は MPO コネクターの一種であると見なされているため、ここからは MPO コネクターとだけ呼ぶことにします。

 

内容

 

認証と規格

他の規格ベースのコネクター・インターフェースと同様、MPO コネクターのメーカーは、嵌合互換性の規格に従わなければなりません。MPO コネクターの場合、オス/メス・インターフェースのピンやガイド穴の寸法など、コネクターの物理的特性を指定した IEC 61754-7 や EIA/TIA-604-5(FOCSI 5)規格などがあります。これら規格は、規格に準拠したプラグやアダプターが相互に嵌合可能で、一定水準のパフォーマンスを満たすことを保証します。

嵌合互換性の他にも、MPO コネクターは光ファイバー・インターフェース規格の IEC PAS 61755-3-31 で規定される特定の端面形状のパラメータを満たさなければなりません。これには、アレイ内のすべてのファイバーおよび隣接ファイバーの研磨角度、突出し量、ファイバー高さの最大差異などが含まれます。コネクターの全体的なパフォーマンスは、これら機械的特性を制御できるかどうかに大きくかかっています。例えば、ファイバー高さの差異を超えてしまい、アレイ内のファイバーが同じ高さでなかった場合、一部のファイバーが適切に嵌合しません。これは、挿入損失やリターン・ロスに大きく影響する可能性があります。

アプリケーション

MPO コネクターはここ数年、スイッチ間にプラグ・アンド・プレイ方式で成端済みのバックボーン・ケーブルを展開する方法として、データセンターのデュプレックス 10 ギガ・ファイバーのアプリケーションに使われています。MPO は、ケーブルの省スペース化とケーブル管理を容易にし、より素早い展開を可能にします。これら 10 ギガのアプリケーションでは、12芯または 24芯トランク・ケーブルと両端の MPO コネクターがバックボーンのパーマネント・リンクを形成し、MPO-to-LC カセットまたは MPO-to-LC ハイブリッド・パッチ・コードを通して、パッチ・パネルでデュプレックス・ファイバー・コネクターに変換されます。

10 ギガ以上の帯域幅速度が求められるニーズに伴い、MPO コネクターは、パラレル光学装置を使用するデータセンターの高速スイッチ間バックボーンの事実上のインターフェースになりました。例えば、マルチモード・ファイバー上の 40 ギガや 100 ギガのアプリケーション(40GBASE-SR4 および 100GBASE-SR4)では、8 芯の光ファイバー(4 芯が 10 Gbps または 25 Gbps で送信し、4 芯が 10 Gbps または 25 Gbps で受信)が使用されます。このような一般的なデータセンターのアプリケーションでは、8芯または 12芯ファイバーの MPO コネクター(12芯 MPO を使用する場合、12 芯のうち、8 芯しか使われない)が必要になります。今後の展開として、MPO コネクターおよびパラレル光学装置がより高速な 200 ギガや 400 ギガをサポートするようになると標準化団体は予想しています。そのため、MPO コネクター・インターフェースの時代はまだまだ続くことでしょう。

クリーニングおよび検査

すべてのファイバー端面と同様、MPO コネクターもクリーニングおよび検査しなければなりません。実際、表面積がより大きい分、MPO コネクターの方がクリーニングと検査がより大きな懸念事項となります。このような広い表面積をクリーニングする場合、汚れは同じ配列内の別の光ファイバーに簡単に移動します。したがって、この配列が大きいほどリスクが高くなります。24芯や 32芯のファイバー MPO コネクターなどのようにファイバーの芯数が多いと、ファイバー高さの差異を制御することがより困難になり、ファイバー全体の高さのばらつきにより、すべてのファイバーが適切かつ均等にクリーニングされない可能性が高まります。そのため、検査、クリーニング、そして再び検査を繰り返すことが重要になるのです。

FI-7000-MPO キットには、MPO 検査チップと MPO Quick Clean クリーナーが付属しています

 

ファイバー端面の検査については、IEC 61300-3-35 「光ファイバ接続デバイス及び光受動部品の基本試験及び測定手順」に、検査の合否判定から人間の主観性を排除し、論争を回避するための清浄度に関する詳細な等級基準が記載されています。IEC 61300-3-35 は、各種コネクターの種類やファイバー・サイズごとに、コア、クラッド、接着剤、コンタクト部を含む端面の各ゾーンのひっかき傷の数と大きさ、および欠陥に基づいて、ファイバー端面の清浄度を認証します。

フルーク・ネットワークスの FI-7000 FiberInspector Pro は、IEC 61300-3-35 業界規格に対して光ファイバー端面をわずか 2 秒で認証して自動的に合否結果を提供します。また、フルーク・ネットワークスの FI-7000-MPO キットには、簡単に MPO コネクターの端面をきれいにできる MPO 検査チップと MPO Quick Clean クリーナーが付属しています。

 

極性

ファイバー・リンクが正常にデータを送信するには、ケーブルの一端の送信信号(Tx)がもう一端の受信側(Rx)と一致する必要があります。どのような極性も、接続を維持することを目的としていますが、マルチファイバー・コンポーネントを扱う場合には、これが複雑になります。業界規格では、メソッド A、B、C の 3 つの異なる極性方式が定義されており、どの方式も異なる種類の MPO ケーブルが使用されます。

メソッド A では、一端がキーアップ・コネクター、もう一端がキーダウン・コネクターとなるタイプ A の MPO トランク・ケーブルが使用され、位置 1 にあるファイバーが、反対側でも位置 1 になります。デュプレックス・アプリケーションにメソッド A を使用する場合、終端のパッチ・コードで反転接続を行う必要があります。

 

メソッド B では、反転接続となるように、両端ともキーアップ・コネクターが使用されます。つまり、位置 1 にあるファイバーが、反対側では位置 12 に、位置 2 にあるファイバーが、反対側では位置 11 になります。デュプレックス・アプリケーションの場合、メソッド B は両端でストレートの A-B パッチ・コードを使用します。

メソッド C では、メソッド A と同じように一端がキーアップ・コネクター、もう一端がキーダウン・コネクターとなりますが、反転はケーブル内で行われます。つまり、位置 1 にあるファイバーは、反対側では位置 2 になり、位置 2 にあるファイバーは位置 1 になります。この方式はデュプレックス・アプリケーションでも機能しますが、パラレルの 8 芯 40 ギガおよび 100 ギガ用途をサポートしないため、推奨されません。

3 つの異なる極性方式とそれぞれに合わせて正しいパッチ・コードを使用する必要性があることから、展開時の間違いはよく起こります。幸いにも、フルーク・ネットワークスの MultiFiber™ Pro を使えば、パッチ・コード、パーマネント・リンク、そしてチャネルを個別にテストして、極性が正しいことを確認できます。

 

パフォーマンスのテスト

データセンター内の他のファイバー・リンクと同じように、MPO コネクターを使用するファイバー・リンクは、挿入損失のバジェット内に収まるようにテストしなければなりません。これは、MPO を必要とするより高速な 40 ギガおよび 100 ギガのアプリケーションに特に当てはまります。これらアプリケーションでは、損失バジェットがずっと低いため、最高のテスト精度を確保することが重要です。

オンボードの MPO コネクターを備えたフルーク・ネットワークスの MultiFiber Pro が登場する以前、MPO ベースのファイバー・リンクは従来のデュプレックス・ファイバー・テスターでテストされていました。これは、複数のファイバーを一つのファイバー・チャネルに分ける MPO-to-LC ファンアウト・コードを使用し、テスト対象のファイバー・ペアの両端に接続する前に、テスト基準コードを検証する必要があるため、非常に時間がかかる作業でした。この複雑なテストは、大きな不整合性を生じさせ、作業中にすべてのファイバーをきれいに保つのを困難にさせました。

MPO コネクターのすべての 8、10、または 12 芯を同時にスキャンできるオンボード MPO コネクター搭載の MultiFiber Pro は、複雑さを解消し、デュプレックス・テスターよりも 90% 速くテストできるため、高く推奨されます。実際、IEC TR 61282-15 Ed1 「Cable plant and link – Testing multi-fibre optic cable plant terminated with MPO connectors」(2017 年 2 月承認)では、これらシステムをテストするテスターは、MPO インターフェースを備えていなければならないことを規定しています。

 

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