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4 対 PoE へのアップグレード:知っておくべきこと

マーク・マリンズ

VoIP 電話やセキュリティ・カメラなど、さまざまな機器に電力を供給するために、ここ数年間、パワー・オーバー・イーサネット (PoE) に対応したケーブル配線システムが展開されています。これまでは最大 30 W への対応が要求されていましたが、現在は、最新の 802.11ac Wi-Fi アクセス・ポイントやデジタル表示、そしてデスクトップ・コンピューターも高電力レベルの PoE を活用できるようになったため、顧客は、こうったい多くの機器に電力を供給できる 4 ペア PoE を求め始めています。

4 ペア PoE アプリケーションの性能と熱の発生を懸念する声が多く聞かれるため、ケーブル配線システムを展開する際、顧客の新機器すべてに確実に給電できるかどうか不安になるのも無理はありません。実際、高電力レベルの 4 ペア PoE には注意の必要な点がいつくかあります。

詳しく見ていきましょう。

適切なタイプ

 

まず、PoE タイプの違いについて理解する必要があります。タイプ 1 PoE は最大 15.4 W の電力を送信し、機器ではそのうち 13 W を使用できます。タイプ 2 PoE(PoE Plus とも呼ばれます)は最大 30 W の電力を送信し、機器ではそのうち 25.5 W を使用できます。両タイプとも 2 つの方式(オルタナティブ A と オルタナティブ B)を使って 2 ペアを介して給電を行います。

オルタナティブ A では、1-2 ペアと 3-6 ペアを使ってデータと同時に電力が送信されます。オルタナティブ B では、使用されていない 4-5 ペアと 7-8 ペアを使って電力が送信されます。Alternative A は、2 対(10/100BASE-T)と 4 対(1000BASE-T)の両アプリケーションと互換性があり、Alternative B は、2 対を使用するデータ信号としか互換性がありません。

提案されている 802.3bt ドラフト規格では、4 対 PoE に Type 3 と Type 4 のどちらも含まれ、4 対すべてを使用してデータと一緒に電力が送信されます。タイプ 3 PoE は最大 60W の電力を送信し、機器ではそのうち 51W を使用でき、タイプ 4 は最大 90W の電力を送信し、機器ではそのうち 71W を使用できます。

バランスの重要性

オルタナティブ A を用いるタイプ 1 とタイプ 2 PoE では、2 ペアにコモン・モード電圧を印加することで電力を供給し、電流は 2 つの導体に均一に分割されます。これを実現するには、ペアの各導体の DC 抵抗のバランスが取れていなければなりません(等しくなければなりません)。差は DC 抵抗アンバランスと呼ばれます。アンバランスが大きいと、イーサネットのデータ信号に歪みが発生し、ビット・エラー、再送信の原因となり、データ・リンクが切れることもあります。

タイプ 1 とタイプ 2 PoE オルタナティブ A と同様、4 ペアのタイプ 3 とタイプ 4 PoE もコモン・モード電圧を使って電力を送信するため、DC 抵抗アンバランスが重要になります。ただし、タイプ 3 とタイプ 4 では、各ペアの DC 抵抗アンバランス以外にも考慮しなければならないことがあります。複数のペアで過度の DC 抵抗アンバランスが発生すると、データ伝送に悪影響を与え、PoE が機能しなくなる可能性があります。

導体径と同軸度(真円度)にばらつきのある低品質ケーブルを使用すると、DC 抵抗アンバランスのリスクが高くなりますが、各導体が IDC 内に適切に装着されておらず、終端処理に一貫性がない場合も DC 抵抗アンバランスが発生する可能性があります。ベンダーのケーブルには DC 抵抗アンバランスの仕様が記載されていることもありますが、DC 抵抗アンバランス性能を確認するには、敷設後に現場試験を必ず行う必要があります。

幸い、メタル線ケーブル認証テスターのフルーク・ネットワークス DSX ケーブルアナライザー™ シリーズを使うと、ペア内とペア間の DC 抵抗アンバランスを素早くテストできるため、展開するケーブル・システムが 2 ペアおよび 4 ペア PoE アプリケーションに対応することを確認できます。

その他の考慮事項

残念ながら、考慮する必要があるのは DC 抵抗アンバランスだけではありません。PoE にツイスト・ペア・メタル線ケーブルが使用されている場合、ケーブル内の温度の上昇によって挿入損失が大きくなることがあります。これにより、挿入損失試験でチャネルが不合格となったり、短いケーブルを使用しなければならなくなる可能性があります。

PoE に使用する複数のケーブルを 1 つにきつく束ねた場合は特に、熱の発生が問題になります。電力が高いほど、大きな熱が発生します。米国電気工事規程では、60W 以上の PoE に関して、導体サイズと温度定格に基づいて、束にすることのできるケーブルの数を規定しています。UL も、温度定格を超えることなく、ペアに特定の電流が流れることが確認されたことを示すために、Limited Power (LP) 認証を導入しました。また TIA も、束ねられたケーブルの温度上昇を制限するためのガイドラインを現在策定中です。

4 ペア PoE システムに対応したケーブル配線システムの確認については、ICT Today 3/4月号の記事をお読みください(本ブログの投稿時には、図 1 と図 2 が逆になっていました。このブログでは修正されています。)


 
 
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