長さの測定 - DSX CableAnalyzer

長さの測定は10 MHz の信号をケーブルに送って戻るまでの伝搬遅延から算出します。10 MHz の信号がケーブルを伝って遠端から戻るのにかかった時間を使って、長さを計算します。これが機能するには、10 MHz の信号が特定のケーブル内を伝送する速度をフィールド・テスターが知っている必要があります。そのため、業界ではフィールド・テスターに公称伝搬速度 (NVP) を使用しており、これは通常、真空中の光の速度に対する比 (300,000 km/秒) で表されます。ケーブル製造業者は自社のケーブルの NVP を明記します。これはケーブルの設計によって異なり、56% ~78% の範囲になります。NVP % はシース内の最短のペア線を基に算出されます。

10% ルール
NVP の設定には不確実性があります。ANSI/TIA-1152 ではこれを認識し、「合否判定の基準は、ANSI/TIA-568-C.2 で指定されているように、チャンネルまたはパーマネント・リンクの最大許容長に加えて、公称伝搬速度 (NVP) の 10 % の不確実性に基づく」と説明しています。つまり、特定の ANSI/TIA 規格の長さ制限が 90 m (295 ft.) の場合、長さが 99 m (325 ft.) を超えるまで、長さの試験で不合格になりません。この場合、90 m (295 ft.) はパーマネント・リンク試験のリミット代表値です。チャンネル試験の場合、リミット代表値は 100 m (328 ft.) であるため、長さの測定は長さが 110 m (361 ft.) を超えるまで不合格になりません。

下の例では、(最小ペア線に基づく) 長さがリミット値を 0.8 m 超えていますが、ANSI/TIA-1152 の 10% ルールのため合格になっています。

   DSX 5000 ケーブルアナライザーの長さ測定

これは、パーマネント・リンクで 90 m/295 ft.、チャンネルで 100 m/328 ft. を超えてもよいという意味ではありません。これらの設計の長さを超えた場合は、挿入損失で不合格となります。

無視される長さ
ISO/IEC11801:2010 規格では、長さの準拠が義務づけられていません。そのため、LENGTH(長さ)の上に ignore(無視)の「i」が表示されます。長さに基づくパラメータである挿入損失、伝搬遅延、伝搬遅延時間差に合格した場合、アプリケーションは正常に機能し、理論的には正しいことになります。

   DSX 5000 ケーブルアナライザーの無視される長さ

NVP の設定が間違っていませんか?
LinkWare PC で新しい NVP 値を使用してリンクを認証し、新しい NVP 値が長さにどのように影響するか確認できます。他のパラメータには影響しません。参考のために、下の表にテスターの NVP 設定が間違っている場合の影響を示します。

   LinkWare NVP 値テーブル