ホワイトペーパー
フルーク・ネットワークスによる校正でケーブル・テスト機器の正確性を確保し、価値を最大化
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概要
ケーブル敷設業者は、クライアントに提供する保証の重要性を理解しています。ビジネスの整合性を保つには、ケーブル・テスト機器で正確な測定を行う必要があります。フルーク・ネットワークス™ の認証テスターをご利用いただければ、フルーク・ネットワークス製品が
最高品質かつ最先端のテスト機器であることが分かります。フルーク・ネットワークスのテスターは常に正確な測定を行います。
フルーク・ネットワークスから年 1 回のテスターの校正についての電子メールや LinkWare Live™ 通知を受け取ると、「テスターには調整する可動部品がないのになぜ校正が必要なのか?テスターはどのような方法でを校正されるのだろうか?フルーク・ネットワークスに機器を送る必要があるのだろうか?他の試験所に送った方が早く校正してもらえるのではないだろうか?」と思われるかもしれません。
校正に出している間はテスターを使用できないため(フルーク・ネットワークス・ゴールド・サポート・プログラムをご購入いただいている場合は、校正および修理時に代替機器を無償でご利用いただけます)、これは当然の疑問です。
機器の校正を行わなかった場合に起こり得る状況について見ていきましょう。たとえば、作業に高い精度と正確な測定が求められているとします。間違っているかもしれないレポートをクライアントに提供できるでしょうか?テスターによってテスト結果が異なる場合はどうでしょうか?顧客やケーブル配線システム業者と意見が合わない場合はどうしますか?
校正は、テスト機器の正確性を確保するためのテストです。校正の主な目的は、フルーク・ネットワークスのテスト製品に不整合性がないかどうかをテストし、必要であれば、修理や調整を行って補正することにあります。これにより、不正確な測定を防ぐことができます。
このページに記載されていること
校正の利点
ISO 9001 品質管理システムが導入されている場合は、品質の確認や管理に使用する測定機器を校正することが義務付けられています。また、こういった校正はすべて、国家標準および国際標準に準拠しながら行わなければなりません。テスト・レポートには校正実施日も記載されます。ケーブルの敷設に関してトラブルが発生し、テスターが校正されていないことがレポートによって明らかになった場合、敷設の正当性を主張することが難しくなります。
さらに、ケーブル・メーカーや接続器具メーカーは、テスト・データの監査に基づいて、複数年の製品/アプリケーション保証を発行します。保証を受けるには、適切に校正された機器を使用してこれらデータを収集し、メーカーの仕様と時間尺度に従ってテストを実施する必要があります。このため、作業に対する支払いを受けるためには、非常に多くのリンクを認証しなければなりません。
フルーク・ネットワークスのテスターは、抵抗器、コンデンサー、集積回路などの安定したコンポーネントで構成されています。しかし、他の電気製品と同様に、これらのコンポーネントの性能は経時的に変化します。温度や湿度、保管/輸送条件によって、機器に変化が生じます。制御された環境においても、テスター内部の回路は、テスターの電源のオン/オフの切り替えによって熱くなったり、冷たくなったり、製品のライフサイクルを通して変化します。埃や外部からの汚れが回路基板に付着したり、または、誤って機器を落としたり、作業現場へ向かう車内で機器が激しく振動したりすることによって、コンポーネントが損傷する可能性があります。
欠陥のあるテスターは、さまざま問題の原因になります。たとえば、認証テストで不良リンクが誤って合格と判断された場合、将来システムで、ケーブル配線システムに起因するネットワーキング問題が発生する可能性があります。不良リンクが訴訟問題に発展し、手戻り作業と修理を行わなければならなくなるかもしれません。逆に、良好なリンクをテスターが不合格と判断した場合は、修理する必要のないリンクに無駄な時間と費用を費やすことになります。機器を適切に校正し、テスターを最初に使用した時と同じ正確性を確保することによって、これら問題を回避できます。
フルーク・ネットワークス正規サービス・センター
フルーク・ネットワークスは、世界 13 ヶ所に正規サービス・センターを開設しています。これらの各研究所は、メタル線の校正ステーションを少なくとも 1 つ以上設置し、メタル線テスターの校正を実施しています。また、7 ヶ所の正規サービス・センターでは、光ファイバー・テスターの校正も行っています。
フルーク・ネットワークスは、17 機のテスト・デバイス(図 1)をテスト機器に接続して、DSX ケーブルアナライザー™ の校正を行います。これらのテスト・デバイスは、校正アーチファクトと呼ばれます。カスタムメイドの各アーチファクトは、関連する全周波数範囲で 4 つのペアすべてをテストし、NEXT/FEXT、挿入損失、リターン・ロス、減衰、抵抗などの異なる測定を校正するように設計されています。それぞれのアーチファクトは複雑な回路を備えており、メタル線校正アーティファクト一式の総額は 10,000 ドルです。
図 1 - メタル線校正ステーション。カスタム設計された 17 機のアーチファクトを Versiv ユニットに順番に接続して、校正を行います。自動回転設定は、生産量に対応するために工場のみで使用されます。
当社の光ファイバー校正ステーションは、超高性能エア (HEPA) フィルターおよび制電カーテンを使った、埃の少ない環境に設置されています。フルーク・ネットワークスの厳しい正確性要件を満たすために、各光ファイバー校正ステーションでは、当社のエンジニアによって変更された機器やアダプターなど、80,000 ドル以上相当のラボ機器を使用しています。(図 2 を参照)
図 2 - 光ファイバー校正ステーション。埃を低減するために、ステーション上部のフィルター・システムにはスチック製カバーが使用されています。フルーク・ネットワークスでは、当社の正確性要件を満たすために、市販製品の一部を変更して使用しています。
フルーク・ネットワークス正規サービス・センターで校正する理由
フルーク・ネットワークスの正規サービス・センターは、認定されていない試験所に比べて非常に多くの利点を提供します。以下の項目を含みます:
校正の質
フルーク・ネットワークスの正規サービス・センターにお送りいただいたメタル線/光ファイバー・テスターは、独自のさまざまなテスト手順とカスタム機器を使用して、工場仕様に基づいて精密に校正されます。
認定されていない研究所では、フルーク・ネットワークス独自のテスト機器や手順は使用されません。また、長さや抵抗などの基本測定のみを校正し、周波数範囲全体にわたって製品の正確性がテストされない可能性があります。たとえば、10、100、1000、および 2000 MHz でのみ製品をテストする可能性があります。これに対し、フルーク・ネットワークスの正規サービス・センターでは、10~2000 MHz の数百の周波数でテストを行います。
製品知識と限界
当社の校正手順とアーチファクトは、フルーク・ネットワークスの製品設計と、長年にわたって使用される何万機ものユニットを校正する過程で収集した膨大な量のデータに基づいています。当社は手順を調整して、不確かさが最も発生しやすい部分をテストします。認定されていない試験所にはこのような詳細な知識がなく、テストが必要な測定と周波数の組み合わせについて、またはフルーク・ネットワークスの製品で発生しやすい不確かさについて把握していないことがあります。
トレーサビリティと整合性
フルーク・ネットワークス製テスターの性能を国家標準に基づいて常に正確に測定するためには、校正に使用されるるアーチファクトや機器自体も時折校正する必要があります。
当社の正規サービス・センターは毎年、米国ワシントン州エバレットにあるフルーク・ネットワークスのサービス研究所にアーチファクトを送ります。そこでは、フルーク・エバレット・プライマリ電気研究所または米国標準技術局(NIST)にトレーサブルなより厳しい正確性標準に基づいて正確さがテストされます。認定されていない試験所では、国家標準へのトレーサビリティを提供しないことがあるため、測定の正確さを認証できない可能性があります。
図 3 - 当社のサービス・センターで使用される 17 機のメタル線校正アーチファクトのうちの 1 機。プラスチック製のシェルで保護されています。
製品変更の通知
製品に変更や問題があった場合、問題の解決方法が明らかになった場合、フルーク・ネットワークスはすべての認定サービス・センターにその旨を遅延なく通知します。たとえば、ある機器を数回落とした場合、バッテリーの接点が変形し、バッテリーとユニットの接続が不安定になる可能性があることが最近判明しました。フルーク・ネットワークスのエンジニアはこの問題の解決方法を見つけ、校正するすべてのユニットをこの方法で修理すように正規サービス・センターに通知しました。フルーク・ネットワークスでは、認定されていない試験所に製品変更通知を送ることはないため、外部の試験所では製品の変更についての情報をお客様に提供したり、機器の予防保守を実施したりすることはできません。
製品の修理およびアップグレード
フルーク・ネットワークス正規サービス・センターでは、エンジニアが機器のテストを行うだけではありません。測定が正確でない場合は、純正サービス部品を使用して必要な調整または修理を行います。ソフトウェアおよびファームウェアを更新して、すべての付属品をテストし、欠陥があれば交換し、テスターをクリーニングして、その性能を確認します。認定されていない試験所では、機器をテストし、特定の測定の校正が標準に従っていない場合はその旨を通知するのみです。フルーク・ネットワークスの機器に求められる正確性レベルを確保するために必要な修理や更新は行ってくれません。
Figure 4 - Data collected from a single Versiv unit after testing from just one of the seventeen artifacts.
校正標準研究所のための校正
フルークが提供する校正機器は正確性が非常に高いため、米国標準技術局をはじめ、世界中の国家標準研究所で校正標準として採用されています。つまり、校正標準の策定者たちは、フルークの機器を使って標準を確立しています。
これら校正アーチファクト自体も、フルーク・エバレット・プライマリ電気研究所で校正されており、弊社のエンジニアは、世界最高レベルの標準化団体で行われているように、量子力学を用いて一次標準測定を実施します。当社の製品は、国立研究所からお客様までトレーサビリティの連鎖を提供し、すべてのリンクを最も正確に測定します。
校正を行うことで、高い投資利益率(ROI)を実現できます。校正を怠ると、労働時間やコスト、不満を抱く顧客との間で問題が発生するリスクが増加し、ネットワークのテスト効率が低下します。テスト機器を校正することで、最も正確な測定を常に行って、製品の適切な動作を確保できます。また、校正は製品寿命を長くすることにつながり、テスターで不合格と判断される前に、原因となるコンポーネントの修理や交換を行うことで、ダウンタイムを回避できます。
フルーク・ネットワークスは、当社テスト製品の設計や性能に関して、および正確性と信頼性を確保する校正機器に関して、他社にない詳細な知識を提供できます。また、お客様の製品を適切に点検し、メーカーの公表仕様通りに動作することを保証できるのはフルーク・ネットワークスだけです。フルーク・ネットワークスは、お客様のテスターを適切に校正いたします。
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