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産業用イーサネット規格:次の産業革命への地ならし

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概要

イーサネットは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)およびワイド・エリア・ネットワーク(WAN)におけるデータの伝送方法を制御する標準プロトコルとして長い間確立されており、企業の世界では、相互運用性、冗長性、柔軟性、拡張性、高速性、およびコスト効率性といった利点がよく理解されています。ここ数十年間で、イーサネットは劇的な進化を遂げ、産業用アプリケーションで急速に普及が進んでいます。

TCP/IP ベースのオフィス・アプリケーションで用いられるイーサネット層プロトコルは、データ・パケットがさまざまな経路を経由してすべてのノードにブロードキャストされ、決められた到達時間もなく、遅延も発生するため、マシン・ツー・マシン(M2M)通信に必要とされる「リアルタイム」なデータ転送が妨げられ、産業界では当初より課題がありました。現在は、イーサネットのすべての利点に加え、低遅延と決定論を提供する産業用イーサネット・プロトコルがいくつか開発されています。例えば、Modbus TCP/IP™、EtherCat™、EtherNet/IP™、および PROFINET™ などが挙げられます。その結果、産業オートメーション・アプリケーションへのイサ―ネットが増加しており、より複雑で、独自仕様の場合が多く、距離や性能に制限がある従来のフィールドバス・プロトコルに急速に取って代わっています。実際、産業用イーサネットはフィールドバスのシェアを超え、フィールドバスの約 4 倍の年間普及率で成長しています。

バズワードの解説

産業界には、産業用イーサネット、産業用モノのインターネット(IIoT)、インダストリー 4.0、スマート・マニュファクチャリングといった数多くのバズワードが存在します。産業用イーサネットという用語は、あらゆるイーサネットベースの産業用通信プロトコルを表すのに使われますが、IIoT(IoT から派生)、インダストリー 4.0、スマート・マニュファクチャリングといった用語と同じ意味で使うことができます。いずれもリアルタイムなデジタル・データ、マシン学習、人工知能により生産およびオペレーションを融合するトレンドを言い表しています。インダストリー 4.0 の名前は、このトレンドを第四次産業革命とも見なせることから来ています。最初の産業革命は、1800 年代初期の油圧機械や蒸気機関の使用、第二次が 1900 年代前半の鉄鋼、電気、組み立てラインの発明、そして第三次が 1960 年代の工場環境におけるコンピュータ・テクノロジーの使用と言われています。

産業用イーサネットは、インダストリー 4.0 と IIoT の重要な原動力の一つで、製造において、相互接続性と人間・機械間の通信を全く新しいレベルに引き上げ、サプライチェーン全体の管理および可視性の向上、メンテナンスの自動化・合理化、コラボレーションおよび生産性の向上、つまりスマート・マニュファクチャリングを可能にするリアルタイムな情報を提供します。イーサネット・プロトコルは、LAN および WAN でのデータ送信に使われるため、産業用イーサネットは、工場フロアと本社オフィス間でより良い情報共有を可能にします。イーサネットに精通した豊富な IT 技術者やツールが存在するため、サポートもより簡単になります。

過酷な産業環境

従来のイーサネットは、オフィス・ビル、学校、病院などの比較的きれいで快適な環境に構築されています。一方、産業用イーサネットはその逆です。産業用イーサネットは、工場のほか、屋外のコンベヤーや鉱山でも使用されます。これらの環境では、ケーブルにかなりのストレスがかかります。衝撃、常時動作(ロボット・アームやターンテーブル)、振動といった機械的なストレス要因があります。食品・飲料業界などのように、設備(ケーブルも含め)をホースで毎日洗浄する業界もある中、液体や化学薬品がケーブル内に侵入する状況があります。高温環境(ベーキング、製鋼)や低温環境では、温度の変化により気候ストレスが生じます。可変周波数モーター・ドライブ(VFD)、モーター、接触器、およびその他の機器からの電磁ノイズが、イーサネット・ケーブルやデバイスに干渉します。これらの「MICE」ストレス要因は、産業用イーサネット・ケーブル障害の主な原因であり、問題を断続的に生じさせたり、診断を難しくさせます。

遅延の影響をより受ける機械

ほとんどの人は、ウェブ、無線アクセス・ポイント、サーバー、電話、電子メール、プリンターなどに接続するためにイーサネットを使用しています。イーサネットは、人間と機器(プリンターなど)がデータ・パケット(フレームとも呼ぶ)をやりとりできるように設計されています。パケットの伝送には、通常 1 ミリ秒もかかりません。もし何らかの理由で、パケットが最初の試みで届かない場合、イーサネットはパケットが届くまで再送を繰り返します。例えば、これが 2 ページの文書を印刷する場合、2 秒の遅延が生じても、誰も気付いたり、気にすることはありません。

産業用イーサネットは、重要かつ時間的制約のある、そして時折危険な作業を行う機械同士を接続します。例えば、産業用イーサネットで制御される機械が、一部組み立てられた重い車両を次の組み立てステーションに移動しているとします。ご想像の通り、間違った動作は機器の損傷や作業員の怪我を招き、品質や生産率に影響を与えます。プリンターの例とは異なり、少数のイーサネット・パケットに 1 秒未満の遅れが生じると、潜在的な安全上の問題を回避するために、機械を停止しなければなりません。すべてを安全な状態に戻し、機械を再稼働するまでに何時間もかかる場合があります。すべては、わずかなパケットの紛失や遅延が原因です。

イーサネットのすべての利点に加え、過酷な産業環境でも時間的制約のあるアプリケーションを実行できるように、産業向けに規格が策定されています。

産業施設向けのイーサネット規格の策定

イーサネットベースの LAN や WAN を使用する企業の世界では、産業用配線規格に従ってネットワークを構築することは、将来のアプリケーションのサポート、既存環境の活用、そしてネットワークの耐用期間を通じて品質と信頼性を保証するための検証およびメンテナンス方法も含め、相互運用性およびクロスベンダー・サポートを可能にします。産業ネットワークも例外ではありませんが、前述の通り、データ伝送エラーの影響をより多く受けます。

産業ネットワークのケーブル配線規格に関しては、米国電気通信工業会(TIA)が北米の規格を、国際標準化機構(ISO)/国際電気標準会議(IEC)が国際規格をそれぞれ策定しています。TIA 内では、エンジニアリング委員会 TR-42 が、構内通信インフラ用規格の策定・管理を行っています。このエンジニアリング委員会には、国内外で規格に準拠したコネクティビティ・ソリューションを開発するサプライヤーのニーズがあるため、海外からの参加者が数多くいます。実際、ISO/IEC WG3 のワーキング・グループと TIA TR-42 の小委員会は、同じ参加者を共有しています。一般的に、使用される用語に多少の違いはあるものの、TIA 規格は ISO/IEC 規格とよく整合が取れています。TR-42.9 産業通信インフラ小委員会は、産業環境のケーブル配線規格を取り扱っています。

産業オートメーション用の配線については、産業用イーサネットの国際レベルでの標準化はすべて、IEC SC65C 小委員会が行っています。産業環境におけるイーサネットの配線およびケーブルを定義し、構内配線の重複する領域で連携を図るため、ISO と IEC との間で 65C/JWG-10 と呼ばれるジョイント・ワーキング・グループ(JWG)が発足しました。このグループは、フィールドバス規格の枠組み内でフィールドバスの環境仕様の策定・管理の責任も負っています。

TIA、ISO、および IEC の他にも、CENELEC(ヨーロッパ電気標準化委員会)、JSA/JSI(日本規格協会)、CSA(カナダ規格協会)など、それぞれの地域や国々の仕様を策定するケーブル配線規格グループも存在します。これら地域の規格グループは、ISO 技術諮問委員会に貢献し、それぞれの規格内容は、通常 TIA および ISO/IEC の要件とかなり一致しています。配線規格以外にも、CENELEC には、IECバージョンとよく調和した同等のフィールドバス規格もあります。

これでどのような委員会が存在しているのか知ったところで、次は、それぞれが策定する規格がどのように産業用ネットワークに関係しているのか見ていきましょう。

北米 – ANSI/TIA-1005-A

2012 年 5 月に発行された ANSI/TIA-1005-A 産業施設向け通信インフラ規格は、産業環境のケーブル配線のインフラ、距離、電気通信アウトレット/コネクターの構成、およびトポロジーの各種要件を定めています。TIA-1005-A は、一般的な電気通信配線の構造、トポロジー、距離、設置、性能、試験要件を定義する ANSI/TIA-568 規格を参照しながら、一般的により過酷な条件にさらされる産業環境向けに、構内配線の推奨事項を規定し、オートメーション・アイランドや産業機器エリアなどの特定のエリアについても取り上げています。

TIA-1005-A 規格の重要な側面に、産業ネットワークを構築するためのコンポーネントの選定に、環境の分類方法として MICE(機械、侵入、気候、電磁気)の使用があります。これには、以下の特性があります。

  • 機械:衝撃、振動、屈曲、衝突
  • 侵入:微粒子、液体、浸水
  • 気候/化学物質:温度、熱衝撃、湿度、UV(太陽放射)、化学汚染
  • 電磁気:静電放電、電磁波、EFT、過渡接地電圧、磁場

MICE の分類方式は、産業環境を過酷度に基づいて分類します。

  • MICE レベル 1:商業オフィス環境
  • MICE レベル 2:組立、食品加工、医療などの軽工業、または除菌洗浄エリア
  • MICE レベル 3:石油化学、半導体製造、自動車製造、機械加工などの重工業

レベル(1、2、または 3)がすべての MICE 特性で同じとは限りません。実際、どのような産業環境も、1 つの分類レベルに排他的に属することはほとんどありません。例えば、M3I3C3E3 環境は、最高レベルの振動、衝撃、張力、衝突、屈曲に耐えられるネットワーク・インフラ・コンポーネントを必要としますが、より一般的な M1I3C3E1 環境は、機械および電磁気の特性がレベル 1 の商業環境と変わらないものの、液体・化学薬品の存在により、侵入および気候/化学物質の分類がレベル 3 になります。MICE 分類方式を使用してコンポーネントを決定するにあたっての秘訣は、常に最悪のシナリオを想定することです。

米国外 – ISO/IEC 11801-3

ISO/IEC 11801-3 情報技術 -- 顧客構内向けの一般的な配線 -- パート 3:産業では、一般的な配線について規定しています。これは、産業施設内のオートメーション・アイランドやその他の建物内の産業スペースに安定したサービスを提供するために重要です。この規格は、2006年に発行され、産業施設やその他の種類の施設内の産業エリアを対象としたケーブル配線システムを規定した ISO/IEC 24702 を置き換えるものです。ISO/IEC 24702 の廃止により、TIA-1005-A で見られる MICE の環境分類は、11801-1 顧客構内向けの一般的な配線 – パート 1:一般要件で規定されています。

全体的に見ると、ISO/IEC 11801 規格は、4ペア平衡ツイスト・ペアー・メタル線および光ファイバー・ケーブルを含め、構内ローカル・エリア・ネットワークで一般的に使われるケーブル配線システムを取り上げています。ISO/IEC 11801-3 のほか、オフィス空間(ISO/IEC 11801-2)およびデータセンター空間(ISO/IEC 11801-5)も含まれています。TIA-568 の一連の規格と同様に、ISO/IEC 11801 規格ファミリーは、各種イーサネットの速度に対応する物理媒体および伝送性能を規定しています。

ISO/IEC 11801-3 は、オートメーション・アイランドへの配線を取り扱っているものの、オートメーション・アイランド内にある重要なオートメーション、プロセス制御、およびモニタリング・アプリケーションを規定していないことに留意する必要があります。このアプリケーション別の情報は、IEC 61158、IEC 61918、および IEC 61784 の規格で取り上げています。

ビッグ 3 – IEC 61158、IEC 61918、および IEC 61784

産業用イーサネットおよびオートメーション・アイランド内のアプリケーションに関して、最も重要なケーブル配線規格は、IEC 61918 産業用通信ネットワーク – 産業施設内の通信ネットワークの設置、IEC 61784-5 産業用通信ネットワーク – プロファイル、および IEC 61158 産業用通信ネットワーク - フィールドバス仕様の 3 つで、すべて IEC の 65C (SC65C) 小委員会によって管理されています。

IEC 61918 は、イーサネットベースのものも含め、すべてのフィールドバスで共通する要素を標準化しています。IEC 61784 は、36 の文書で構成され、オートメーションおよびプロセス制御用機器の設計に使用されるプロトコル固有の通信プロファイルを定義しています。IEC 61158 は、83 の文書で構成され、フィールドバスおよびイーサネットベースのネットワークの物理層、データリンク層、およびアプリケーション層の定義も含め、産業用通信ネットワークに関するガイダンスおよび仕様を提供しています。また、IEC 61784 シリーズの構造と、規格を組み合わせて使用する方法について説明しています。

IEC 61784-5 は、各種通信プロファイル・ファミリー(CPF)を取り扱っており、1 つ以上の通信プロファイルを規定しています。各 CPF はサブパートに分けられ、プロファイルごとに適用される IEC 61918 の要件を規定しています。また、必要に応じて、要件の追加、変更、および置換を行っています。IEC 61784-5 で取り上げられる人気のある産業用イーサネット・プロファイルには、下記の表 1 に記載される EtherCat、Profinet、Modbus TCP/IP、および EtherNet/IP などがあります。

 

61784-5 CPF 商用名
1 Foundation Fieldbus HSE
2 Ethernet/IP
3 PROFInet
4 P-NET
10 VNET/IP
11 TCnet
12 EtherCAT
13 Ethernet Powerlink
14 EPA
15 Modbus-RTPS
16 Sercos III

 

表 1.産業用イーサネットでサポートされるプロファイル。

 

これらの 3 つの文書は、ページ数が多く、かなり高額なため、展開するネットワークに関連する文書のみが必要です。幸いにも、IEC は、使用する CPF に関連する IEC 61158、IEC 61918、および 61784 の文書をパッケージ化しています。

考慮すべきその他の規格

上述の産業用イーサネット・ケーブル配線規格の他に、以下の考慮すべき規格があります。

  • ISO/IEC 14763-2 顧客構内配線の実装と実施 –パート 2:計画および設置では、産業施設を含む一般的な配線をサポートするインフラの計画、構築、および運用について規定し、品質保証、設置仕様、設置計画、設置慣行、文書化、管理、試験、検査、運用、保守、および修理などのトピックを取り上げています。
  • ISO/IEC 14763-3 顧客構内配線の実装と実施 –パート 3:光ファイバー配線テストでは、光ファイバー配線が ISO/IEC 11801 に従って設計され、ISO/IEC 14763-2 の推奨事項に従って敷設され、ISO/IEC 11801 で規定される伝送性能レベルを提供できることを確認するためのテスト手順を概説しています。この文書は、マルチモード励振条件、双方向 OTDR 試験、3ジャンパー・テスト方法、ファイバー端面の検査および基準、基準コネクターの使用を取り上げています。
  • IEC 61935-1 平衡および同軸情報技術配線の試験仕様 – パート 1:ISO/IEC 11801 および関連規格で規定される敷設済み平衡配線では、敷設済みのケーブルが、一般的なケーブル配線システムで動作するように設計された電気通信アプリケーションをサポートできることを確認するための包括的なテストを規定しています。

今後の展望

IIoT/インダストリー 4.0 が進化し続け、産業用アプリケーションがイーサネットに基づいたより統合かつ標準化された環境へ移行するにつれ、標準化団体による新たなな規格の策定、および仕様を調和、連携、および合理化させるための継続的な取り組みが一層見られることでしょう。すでに TIA と ISO/IEC のどちらも、複雑度が低い、低速(10Mb/s など)な M2M 通信を対象としたシングルペアの産業用イーサネット・アプリケーション向けの規格を策定中です。シングルペア・イーサネットは、従来の 4ペア・ケーブル配線システムの未使用のペアを排除し、より小さなケーブルやコネクターの使用を可能にするため、コストをお大幅に削減できる位置付けにあります。

TIA の TR-42.9 産業通信インフラ小委員会は、産業施設におけるシングルペア・イーサネット・アプリケーション向けに配線、ユースケース、トポロジーを規定するため、ANSI/TIA-1005-A 規格の追補を 2 つ策定中です。ISO/IEC は、アプリケーション別のシングルペア・イーサネット・チャネルのパフォーマンスを定義するテクニカル・レポート(TR 11801 9906)を作成中です。また、一般環境および構内環境(産業環境を含む)のシングルペア・イーサネット・コンポーネントおよび配線の要件を規定した ISO/IEC 11801 の追補規格の策定も現在進行中です。

オフィスグレードのケーブルやコネクターは、振動、電気ノイズ、動作中の機器、衝撃の危険、太陽光、液体、汚染物質、溶剤などの要因により、産業オートメーションおよび制御環境の要件に適しておらず、産業環境向けに策定された正しい規格に従うことが重要です。これまで産業用イーサネットの規格の概要を説明してきましたが、混乱が少しでも解消され、扱いやすくなっていることを願います。少なくとも、どこから着手すればよいか、どの規格文書を入手する必要があるか、そして今後どの組織および委員会に注目すべきかを知ることができます。産業用ネットワークを国内および国際規格に基づいて構築することで、相互運用性の確保および将来的なアプリケーションのサポートを可能にすることを忘れないでください。

数百種類ものテスト・リミット値が組み込まれた当社の DSX CableAnalyzer シリーズについて、どれが産業用イーサネット規格に基づいているのか、またどれが産業環境で使用できるのか疑問に思うかも知れません。自社の環境に適した試験およびテスト・リミットについては、お使いの機械/ケーブルのサプライヤーおよびオートメーション装置のベンダーに相談されることを推奨します。ここに DSX に組み込まれた産業用イーサネット規格に基づくリミットについての情報をいくつか記載します。

最初に、チャネル試験用の TIA-1005 規格です。Cat 5e、6、または 6A ケーブルに基づく TIA 1005-A チャネル向けのテスト・リミットをご用意しています。横方向変換損失(TCL)測定に基づく電磁気の影響の受けやすさをテストするには、MICE の「E」レベル(1、2、または 3)を選択する必要があります。「+PoE」または「+All」を選択することで、追加の試験も選べます。「+PoE」試験には、MICE 2 および 3 の環境で早期故障や断続的な問題に発展する可能性がある接触抵抗の高いコネクターの発見に役立つ抵抗試験が含まれています。これらのテスト・リミットを使用するには、DSX テスター(DSX-CHA004 または DSX-CHA804 モデル)付属のチャネル・アダプターが必要です。TIA-1005 の試験は、チャネル構成に基づくため、リンク終端のコネクターのパフォーマンスはテストされません。フィールド成端するコネクターには、この試験は適していません。

次のテスト・リミットは、ISO 11801-9902 テクニカル・レポートに基づいています。TIA-1005-A リミットとは異なり、両端のコネクターのパフォーマンスも測定され、DSX テスト・リミットの「End to End link」(エンドツーエンド・リミット)テストで見つけることができます。TIA リミットと同様、クラス D/E および MICE 「E」レベルから選べます。また、リンク内のインターコネクト数(2~6)も指定する必要があります。リンク内の最後のコネクターをテストするには、テストするクラス・リミットと一致するオプションのパッチコード・アダプター(DSX-PC5ES - Cat 5e /クラス D、DSX-PC6S - Cat 6 /クラス E、または DSX-PC6AS - Cat 6A /クラス FA)が必要です。今後の ISO 11801-3 の改訂版には、エンドツーエンド・リンクも含まれる予定であり、DSX にも追加されます。

次のリミットは、PROFINET 接続用で、DSXの「Application」グループで見つけることができます。選択肢は、PROFINET と PROFINET 2pr E2E(エンドツーエンド)の 2 つだけです。ただし、これらの試験はチャネル・アダプターを使用するため、フィールド成端のエンド・コネクターに適さない可能性があります。

選択するリミットに応じて、アウトレットの構成:TIA568A または TIA568B 配線なのか、2 ペアだけなのか、それとも M12 コネクターを使用するのか(オプションのアダプターが別途必要)などを指定する必要がある場合があります。

各種産業構成向けに DSX をセットアップする詳細手順については、https://www.flukenetworks.com/industrialethernet/testing-industrial-ethernet-cabling-dsx-cableanalyzer. をご覧ください。

イーサネット接続のさまざまな構成をテストするには、正しいアダプターを使用する必要があります。上図:パーマネント・リンク、チャネル、パッチ・コード、M12 アダプター