減衰量 (挿入損失) の測定と試験 - DTX CableAnalyzer

規格では、「減衰」の代わりに、「挿入損失」の言葉を使うようになりました。

リンクにより伝送される電気信号は、リンクを移動しながらそのエネルギーの一部を失います。挿入損失とは、ケーブル・リンクの受端に信号が届いたときに失われたエネルギー量です。挿入損失測定は、伝送される電気信号に対してケーブル・リンクが与える抵抗効果を数値化します。 

リンクの挿入損失の特性は、伝送される信号の周波数によって変化します。例えば、高周波の信号はより多くの抵抗を受けます。別の言い方をすれば、信号が高周波であるほど、リンクの挿入損失が大きくなります。そのため、挿入損失は該当する周波数帯域にわたって測定しなければなりません。例えば、カテゴリー 5e チャネルの場合、1 MHz から 100 MHz の信号の挿入損失を測定する必要があります。カテゴリー 8 のリンクの周波数帯は 1~ 2000 MHz です。挿入損失は、リンクの長さに応じて、直線的に増加します。つまり、リンク「A」がリンク「B」よりも 2 倍の長さで、その他のすべての特性が同じであれば、リンク「A」の挿入損失はリンク「B」のものよりも 2 倍になります。

挿入損失は、デシベル(dB)単位で表されます。デシベルとは、出力電圧(リンク終端における受信信号の電圧)と入力電圧(送信機によりケーブルに印加される電圧)の比の対数です。

結果の解釈

ケーブル内の挿入損失量は、ペアを構成するワイヤーのゲージに大きく依存します。24 ゲージ・ワイヤーは、同じ長さの 26 ゲージ・ワイヤー(より細い)よりも挿入損失が少なくなります。また、ストランデッド・ワイヤー(撚り線)は、銅製導体のソリッド・ワイヤー(単線)よりも、挿入損失が 20~50% 多くなります。フィールド・テスト機器は、挿入損失とマージンの最悪値を報告します。マージンとは、測定された挿入損失と選択した規格で許容される最大挿入損失の差です。したがって、4 dB のマージンは、1 dB のマージンよりも良いということです。

トラブルシューティングの推奨事項

挿入損失の結果が不合格になる最も一般的な原因は、過剰な長さです。通常、ケーブル配線のたるみを無くし、長さを減らすことで、挿入損失が高いリンクを直せます。

コネクター/プラグの成端不良が、過剰な挿入損失の原因になることがあります。接続不良は、挿入損失を著しく増加させます。原因を突き止める手がかりは、4 つのペアの挿入損失の比較です。1 つまたは 2 つのペアしか高い挿入損失が見られない場合、取り付けの問題が考えられます。すべてのペアで挿入損失が高い場合、長さが過剰ではないかを確認します。メタル線ケーブルの不純物が原因で、挿入損失の結果が不合格になる場合もあります。通常、これは 1 つのペアでしか起きません。

ケーブルが長い間、水や水系潤滑剤にさらされると、挿入損失が高まり、ケーブル性能も劣化します。 一般的に、水に長い間さらされたケーブルを、十分に乾燥させると、挿入損失のパフォーマンスが通常に戻ります。 これら問題を回避するには、電線管に水が入らないようにし、ケーブル潤滑剤の適量についてメーカーの指示に従うようにしてください。

温度も、ケーブルによっては、挿入損失に影響します。導線絶縁およびケーブル外皮を構成する誘電体は、ワイヤーに流れる信号の一部を吸収します。特に、PVC(ポリ塩化ビニル)を含むケーブルでそれが顕著になります。PVC 材料には、電気的に活性で、絶縁体で双極子を形成する塩素原子が含まれます。これら双極子は、ワイヤーの周りの電磁界に反応して振動し、振動が大きくなるほど、信号からエネルギーが失われます。温度上昇は、この問題を悪化させ、絶縁体で双極子をより振動しやすくさせます。その結果、温度が上昇するほど、損失が増加します。

このため、標準化団体は、20℃を基準に挿入損失要件を規定しています。最高最低温度の中で運用されるケーブルは、さらなる挿入損失が生じる可能性があるため、ケーブル配線システムを設計する際には、これを考慮しておく必要があります。規格で定義される 90 メートル(295 フィート)の最大長まで配線できない可能性があります。コンサルタントの多くは、安全裕度を高めるため、配線を 80 メートル(262 フィート)未満に収めようとします。当然、スペースが限られ、通信室の数を最小限に収めなければならない場合は、これを行うことはできません。以下は ANSI/TIA-568-C.2 Annex G からの抜粋です。 

フィールド・テスターによっては、挿入損失の合否ラインを調整できる温度設定があります。これは規格では認められていません。フルーク・ネットワークスのフィールド・テスターでは、このようなことはできません。

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