規格が 0.75 dB と規定している理由をご存知ですか?|Fiber Insertion Loss Testing

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ケーブル・テスト 101:規格には 0.75 dB と記載されている!

マーク・マリンズ

これまで多くのブログ記事で、ファイバー挿入損失試験について詳しく説明してきましたので、挿入損失とは、ケーブルの長さやコネクター、スプライス、スプリッターの存在によってチャネル内に生じる信号の消失であることをもうご存知のことでしょう。

願わくば、損失バジェットを推定するにあたり、実行予定のアプリケーションにおいて、損失リミットが IEEE 規格で規定されている範囲内か確認するのに、これらコンポーネントのすべての損失を足し合わせる必要があることも知っておきたいものです。

一方、TIA 規格でファイバーの最大挿入損失を 0.75dB と規定している点が、挿入損失について混乱を招く1つの側面です。複数の接続ポイントが必要で、この値がチャンネルにとって高すぎると思われる場合は、おそらくそれが原因です。詳しく見ていきましょう。

最悪シナリオ

信号の消失

TIA が規定する 0.75dB の最大挿入損失値は、最悪のシナリオを想定しているもので、かなり高く、ほとんどのファイバー・コネクターでは、標準的な損失で 0.3~0.5dB、低損失で 0.15~0.2dB の範囲であるため、あまり現実的な数値ではありません。

実行するアプリケーション向け、または同じケーブル配線上で将来実行する可能性があるアプリケーション向けに挿入損失を推定するとき、0.75dB の値を使用した場合、アプリケーションをサポートできない、あるいは接続ポイントを無くす必要があると考えてしまうことになるでしょう。

例えば、40 Gb/s マルチモード (40GBASE-SR4) アプリケーションのチャネル挿入損失は、わずか 150 メートルの OM4 で最大 1.5dB しか許容されません。光ファイバー損失が 3.0dB/km とすると、150 メートルの OM4 光ファイバーでは約 0.45dB の損失が発生します。つまり、コネクターで許容される損失は 1.05dB (1.5dB – 0.45dB) しかありません。チャネルにコネクターを挿入することで生じる損失を推定するのに 0.75dB の値を使用してしまうと、チャネルに 1 つのコネクターしか追加できなくなるというこです。これでは、チャネルの両端にコネクターを使用できず、インターコネクトやクロスコネクトの使用が妨げられます。

接続ポイントを増やす理由

チャネルの両端でインターコネクトやクロスコネクトを使用するために接続ポイントを増やすことで、柔軟性や管理のしやすさが向上し、展開やアップグレードが簡単になり、重要なスイッチへのアクセスを制限できるパッチングエリアを確保できます。インターコネクトのシナリオでは、ファイバー・パネル同士がパーマネント・リンクで接続され、それぞれがスイッチに接続しています。これらのパネルはスイッチとは別のキャビネットに収納することができるため、スイッチへのアクセスを制限して、セキュリティを向上できます。ただし、両端にインターコネクトを含めることで、チャネルに 2 つの接続ポイントが追加されます。

2 つのコネクターのインターコネクト

クロスコネクトのシナリオでは、チャネルの一端に 2 つのファイバー・パネルがあり、パネル同士がファイバー・ジャンパーで接続されています。これにより、2 つのパネル間のファイバー・ジャンパーの接続を調整するだけで容易に変更を行えるパッチング・エリアが出来上がります。また、チャネルの両端でクロスコネクトを使用することで、「Any to All」構成が作られ、ファイバー・ジャンパーを操作するだけで、一端のスイッチ・ポートともう一端のスイッチ・ポートを任意に接続することができます。クロスコネクトごとに 2 つの接続ポイントがチャネルに追加され、両端で使用している場合は、合計 4 つの接続ポイントになります。

2 つのコネクターのクロスコネクト

実損失の使用

TIA の 0.75dB の最大値を使用して損失を推定すると、チャネル両端でインターコネクトやクロスコネクトの使用を妨げられるものの、これらの構成を使用できないわけではありません。このためには、損失を推定するときに、展開するコネクターの実損失を使用します。

前述のコネクター損失に 1.05dB の余裕しか残さない 150m の 40 Gb/s アプリケーションを例に、お使いのコネクターが 0.2dB の低損失であれば、チャネルに 5 つのコネクターを使用でき、両端でクロスコネクトをサポートできます。損失が 0.3 dB であれば、3 つのコネクターを使用でき、一端でクロスコネクト、もう一端でインターコネクトをサポートできます。また、コネクターの損失が 0.5dB であったとしも、チャネルの両端でインターコネクトをサポートできます。これこそが、挿入損失のパフォーマンスが接続方法を選ぶときの重要なパラメータになる理由の一つです。複数の接続ポイントを使用するときには、尚更のことです。

これらのシナリオを考えると、TIA 規格の最悪シナリオに基づく 0.75dB ではなく、コネクターのメーカーが提供するコネクターの実損失に基づいて損失を推定する方が簡単であることが分かります。

全体の損失の推定方法に関わらず、アプリケーションの挿入損失要件内に収まっているかどうかを確認する唯一の方法は、フルーク・ネットワークス CertiFiber® Pro などの光損失テスト・セットを使用し、敷設後に Tier 1 テストを行って、チャネルをテストすることです。


 
 
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