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OLTS と OTDR:完全な試験戦略
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OLTS と OTDR:完全な試験戦略
ファイバーは、データ・センターやバックボーン・ケーブル・システムでの高帯域幅アプリケーションの必要性、およびサービス・プロバイダー・ネットワークでの新しい低遅延 5G および FTTX の展開によって推進され、ほとんどのネットワーク設置でますます重要な役割を果たしています。10 Gbps 以上を必要とするデバイスがほとんどなく、多くが PoE(パワー・オーバー・イーサネット)を介して電力供給される水平配線システムでは、メタル線が引き続き主流ですが、速度が 40 に達し、100 Gbps を超える場合、距離が長い場合、ノイズ耐性やセキュリティが必要な場合などは、光ファイバー・ケーブル・システムの使用が増加しています。最近の調査によると、世界の光ファイバー市場規模は、2019 年の 43 億米ドルから、2024 年までに 69 億米ドルに達すると予測されています。
光ファイバーの敷設に伴い、ネットワークの所有者と技術者は、光ファイバー・ケーブルをテストするための 2 つの重要なデバイスである光損失測定(OLTS)と光パルス試験器 (OTDR) に注目しています。
- OLTS は、一端に光源、もう一端にパワー・メーターを使用して、反対側から出射される光量を正確に測定することで、リンクの挿入損失を正確に測定します。業界規格に準拠した光ファイバー・テストに必要です。TIA 規格と ISO 規格は、「Tier 1」という用語を用いて、OLTS を使用したテストを説明しています。
- OTDR は、ファイバーに光パルスを送信し、各パルスから反射された光の量を測定することで、個々のスプライスとコネクターのリンク損失の特性を評価します。これは、業界規格に準拠した光ファイバー・テストに推奨されます。また、配線距離の短い新しいシングル・モード・アプリケーションに不可欠であり、完全なテスト戦略の一部として非常に価値があります。OTDR と OLTS の両方を使用したテストは、TIA 規格では「Tier 2」テストと呼ばれ、ISO 規格では「拡張」テストと呼ばれます。
これら 2 つの機器で行われる測定は類似していますが、全く性質の異なる重要な役割を果たします。この記事では、これらのテスターの機能、使用する状況、ならびに最新の光ファイバー・リンクのパフォーマンスを確保し、顧客満足度を最大化する観点から、どのように相互補完するかについて説明します。
このページに記載されていること
OLTS: 正確な挿入損失テストに必要
OLTS は、リンクの総損失を決定するために最も正確な方法を提供し、リンクが特定のアプリケーションの損失要件を満たすよう業界規格で要求されているため、光ファイバー・ケーブルのテスト向けの主力機器です。このテストは、ファイバーの一端に接続された、特定の波長で連続波を生成する光源を使用して実行されます。光検出器を備えたパワー・メーターは、ファイバー・リンクの反対側の端に接続されています。この検出器は、光源から生成された波長と同じ波長で光パワーを測定します。これらのデバイスは連携して動作し、失われる光の総量を決定します。
図 1:OLTS 測定では、リンクの一方の端に光源を使用し、もう一方の端にパワー・メーターを使用します。CertiFiber™ Pro などのモデルは、各端の光源とパワー・メーターを使用して 2 本のファイバーを同時にテスト (duplex) することで、テスト速度を最大化します。これらの結果を合わせて、リンクで失われる光の総量を決定します。
業界標準では、特定のファイバー・アプリケーションの挿入損失制限が指定されています。これは、損失バジェットと長さの組み合わせです。TIA568-3.D と ISO/IEC 14763-3 の両方で要求されているとおり、Tier 1 光ファイバー・テストの標準では、OLTS で測定された損失は、特定のアプリケーションの挿入損失制限と比較され、合格したかどうか判断されます。光源/パワー・メーター (LSPM) も業界標準に従って損失を正確に測定しますが、テストを容易にする主要な OLTS 機能の一部が含まれていないことに注意してください。これらの機能には、duplex テスト、ハンズフリー双方向テスト、損失制限のプリロード、長さ測定、その他の高度な機能が含まれます。アプリケーションの制約は損失バジェットと最大長の組み合わせであるため、長さは特に重要です。CertiFiber Pro™ などのモデルは、損失と長さの両方を測定し、アプリケーションのサポートを保証する明確な合格/不合格の結果を提供します。
図 2: OLTS によって提供される結果は、
光ファイバー(この例では 2 本のファイバー)
と全体的な光損失(dB)です。
本質的に不安定な低次モード(ファイバー・コアの近くを移動する光)と高次モード(クラッドの近くを移動する光)の両方を含むマルチモード光ファイバー・テストの場合、規格はエンサークルド・フラックス (EF) 光源の使用を義務付けています。EF に適合した光源は、ケーブルに入射される光のモードを制御し、最終的に最も精密かつ正確で再現性のあるテスト結果を提供します。
また、規格では、OLTS を使ってテストする場合は、リンク両端で接続損失を含める 1 ジャンパー基準値の使用が推奨されています。これにより、ケーブル設備が最終的にどのように使用されるかシミュレートされます。1 ジャンパー基準値法では、光源に接続する場所からパワー・メーターに接続する場所まで、EF に適合した入射側試験用コードを参照します。一方、2 ジャンパー基準値法では、2 つのジャンパー間の接続が参照され、最終的には損失測定に一端の接続のみが含まれ、損失全体の部分的な測定結果のみが提供されます。3 ジャンパー基準値法では、2 つのコネクターは参照されないため、テスト対象の両端の接続が損失には含まれなくなります。テスト機器でサポートされていないコネクター・タイプのテスト・リンクなど、一部のシナリオでは、2 ジャンパーまたは 3 ジャンパーの基準値が必要になります。基準値の設定方法の詳細については、光ファイバー・テスト方法の解説ホワイトペーパーをご覧ください。
新興のアプリケーションに不可欠
遠端から出る光の量を測定する OLTS とは異なり、OTDR は光源に反射して戻る光の量を測定します。近端と遠端での反射量の差を計算することにより、OTDR はファイバーの損失量を推測できます。OTDR は、特殊パルスのレーザー・ダイオードを使用して、高出力光パルスをファイバーに送信します。パルスがファイバーを移動する際、大半の光はファイバー方向に移動します。高利得の光検出器は、各パルスから反射された光を測定します。OTDR は、これらの測定値を利用して、ソース・パルス内のパワーを減少または反射するファイバー上のイベントを検出します。通常のファイバー構造や、ガラス内の微細な傷を理由に、パルス光の小さな断片が異なる方向へ逃げます。ファイバー内の不純物によって光が散乱されるこの現象は、後方散乱と呼ばれます。
光パルスが接続点、破損、裂け目、スプライス、鋭い曲げ、またはファイバーの遠端に達すると、屈折率が変化して反射されます。このような反射は、フレネル反射と呼ばれます。反射した光の量は「反射率」と呼ばれ、後方散乱は含まず、ソース・パルスと相対しています。これは、dB の単位で表され、通常はパッシブ光学に対する負の値として示され、0 に近い値ほど大きな反射率、接続の不良、大きな損失を示します。リターン・ロスと同様に、この測定値は、入力パワーと出力パワーを比較することで信号がどれだけ失われたかを示す正の値です。一方、反射率は、出力パワーと反射光の量を比較した値です。反射率とリターン・ロスの両方について、値が 0 から離れるほど、結果は向上します。
なぜ、挿入損失だけでなく、反射率を考慮するのですか?反射率は、100GBASE-DR、200GBASE-DR4、400GBASE-DR4 などの配線距離の短い新しいシングルモード・アプリケーションでますます重要になっています。シングルモード・ファイバー・アプリケーションでは、従来からマルチモードよりも損失バジェットが大きく、シングルモード(100GBASE-LR4)では 100 Gig で6.3 dB、一方、マルチモード(100GBASE-SR4)では 100 Gig でわずか1.9 dB です。これは、配線距離の短い新しいシングルモード・アプリケーションには該当しまりません。これらの新しいアプリケーションでは、挿入損失要件の低減に関する認識を高める必要があるだけでなく、制限は反射率にも依存するようになりました。
マルチモード・トランシーバーは反射に対して非常に高い耐性がありますが、シングルモード・トランシーバーはそれほど高くありません。実際、高出力シングルモード・レーザーでは、反射が多すぎるとトランシーバーが破壊される可能性があります。配線距離の短い新しいシングルモード・アプリケーションの場合、IEEE は接続の数と反射率に基づいて挿入損失の制限を指定しています。以下の図 3 に示すように、反射率が -45~-55 dB の 4 つのコネクターが接続された 100GBASE-DR4 アプリケーションでは、挿入損失は 3.0 dBです(表では赤で強調表示されています)。しかし、反射率が -35~-45 dB のコネクターを 4 つ追加すると、挿入損失は 2.7 dB に低下します(表では黄色で強調表示されています)。特殊な OLTS は反射率を測定できますが、ほとんどの場合、正の数のリターン・ロスを測定します。OTDR は反射率を測定します。これは負の数であり、IEEE 標準で指定された値です。
図 3: 配線距離の短い新しいシングルモード・アプリケーションの場合、IEEE は接続の数と反射率に基づいて挿入損失の制限を指定しています。
OTDR:すべてはトレース
OTDR は、光ファイバーの距離に対して反射光と後方散乱光をプロットすることでトレース結果を表示し、光ファイバー・リンクの反射イベントと非反射イベントの特性を評価します。OTDR トレースには共通の特性がいくつかあります。ほとんどのトレースは、OTDR への接続で発生するフレネル反射の結果である初期入力パルスで開始されます。OTDR トレースは、このパルスに続いて下向きに傾斜し、段階的なシフトによって中断される曲線です。値が徐々に低下する理由は、光がファイバーを移動する際に発生する挿入損失または後方散乱の減衰にあります。この低下は、トレースが上方向または下方向に逸脱することを表す急激なシフトによって中断される場合があります。通常、これらのシフトまたはポイントの欠陥は、コネクター、スプライス、または破損によって引き起こされます。ファイバーの遠端は、Y 軸方向のトレースの下降後に大きなスパイクで識別することができます。最後に、OTDR トレースの遠端での出力パルスは、技術的に存在しないイベントである「ゴースト」イベントと呼ばれる、光ファイバー端面の出力で発生する反射に起因します。
図 4 のトレース例では、Y 軸は電力レベル、X 軸は距離を表します。プロットを左から右に読むと、距離が長くなるにつれて損失が増加するため、後方散乱値は小さくなります。OTDR トレースの解釈は初心者には難しく思えるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。高度な OTDR はトレースを自動的に解釈し、イベントの詳細なグラフィカル・マップを表示します(サイドバーを参照)。
図 4: 長さ、光強度の緩やかな低下、およびイベントを示す標準的な OTDR トレース。 (A) OTDR コネクターの反射率が大きいため、最初のコネクターの損失の特性を評価できていません。この場合は、約 300 フィートの入射側試験用ファイバーを使用します。これにより、OTDR はテスト (B) でリンクの最初のコネクターの特性を評価できます。(C) は、2 つのコネクターが近すぎるため、OTDR がそれぞれの損失の特性を適切に評価していないことを示しています。(D) は反射のない損失イベントで、おそらく不良のスプライスまたは APC コネクターであることが考えられます。(E) は、反射により損失が発生した標準的な UPC コネクターを示しています。(F) は、コネクターの反射によって、後の信号が前の信号より強くなっていることを示しています(「ゲイナー」と呼ばれことがあります)。これは、後方散乱特性の異なる光ファイバー・タイプが接続されていることを示唆しています。(G) は、ファイバーの端部です。反射が強いと、コネクターの存在やその性能を特定することはできません。
OTDR を使用する場合、テスト方向によって個々のコネクターとスプライスの損失が変わるため、テストを双方向で実行されます。接続された 2 つの光ファイバーが同じタイプ(OM3、OM4 など)であっても、光ファイバーには多少の違いがあり、後方散乱係数が異なるため、接続点の前よりも接続点の後の方が光の反射量が大きくなることがあります。OTDR テストを一方向にのみ実行すると、損失の測定値が実際より小さくなることがあり、さらには負の値になることもあります(ゲイナーと呼ばれます)。同様に、接続の後の光反射が小さい反対方向のテストでは、実際よりも大きな損失が測定されます。このため、OTDR テストを双方向で実行する必要があります。損失の測定値を平均することで、より正確な結果を得ることができます。双方向のテストを実行する際は、両方のテストに同じ配列を維持して精度を確保するために、入射側と出射側の試験用ファイバーをテストする光ファイバーから取り外さないことも重要です。OptiFiber Pro のようなテスターは、デュプレックス・リンクの他端でループを使用し、2 つの読み取り値を自動的に平均して最終的な損失の測定値を提供することによって、一方の端から簡単に双方向テストを実行できます。
OTDR:特性評価の価値
OTDR は、トラブルシューティング・ツールとして使われることがよくあります。実際、ケーブル設備が稼働した後に、性能問題を引き起こしているイベントの位置を特定する際に役立ちますが、初期テスト時に OTDR トレースでリンク全体の特性を評価することは、技術者と顧客の両方に多くのメリットがあり、OLTS のみを使用することのリスクを軽減できます。
OLTS は業界規格で義務付けられた最も正確かつ反復可能な方法でリンク全体の総損失を計算しますが、合否結果は、リンクがアプリケーションの最大挿入損失内であるかどうかを示すのみで、特定のイベント損失を確認することはできません。このため、不良な接続が検出されない可能性があります。これは大きな問題になります。
多くの場合、光ファイバー・リンクには複数のコネクターやスプライスが装着されており、スキルの異なる複数の技術者によって成端やスプライスの処理が行われます。不適切な設置やその他の配線の要因によって、汚れた光ファイバー端面またはマクロベンドやマイクロベンドなどの障害もリンクで発生することがあります。OTDR を使用して光ファイバーの特性を評価することで、障害の位置を明確に特定し、配線の品質が現在と今後のアプリケーションの設計仕様を満たすことを確認し、不適切なケーブル管理や配線エラーによる想定外の損失イベントを防ぐことができます。これによって、技術者はリンク内の個々の接続点の性能や位置を確認して、エアギャップ、不適切なファイバー・コアの配置、汚れ、または配線中に発生するその他の問題を容易に特定できます。リンクが損失テストに合格した場合でも、反射率の問題によってネットワーク・トラフィックを伝送できないことがあります。こういった問題は OTDR でのみ検出できます。詳細については、「配線距離の短いシングルモードで反射率を確認」をご覧ください。
たとえば、一般的な要件として、スプライスに関連する損失を 0.3 dB 未満にし、コネクターに関連する損失をメーカーの仕様(通常 0.2 dB ~ 0.5 dB)未満にすることがあります。今日の挿入損失の要件は厳しく、エラーの余地が少ないため、光ファイバー・リンクにおける個々のイベントの位置と損失を特定することは、これまでになく重要になっています。不十分なケーブル管理、スプライスの劣化、ファイバー端面の汚れ、さらにはトランスミッターの劣化による電力損失により、総損失が時間経過とともに増大することを特に考慮する必要があります。
OTDR を使用して光ファイバー・リンクの特性を評価すると、リンク内の接続数も確認できます。これは、OLTS では取得できない情報です。これは、クロス接続やパッチされたリンクによって非常に多くの接続ポイントを含むリンクを識別する際に重要な情報です。このような場合は、エンドツーエンドのリンクが特定のアプリケーションの損失の上限を超えることがあります。
OLTS と OTDR: 成功への組み合わせ
光ファイバーのテストに OTDR を使用した場合でも、OLTS 測定は必要です。アプリケーションのコンプライアンスを徹底するために、OLTS の使用して光ファイバーの総挿入損失を正確に測定することが業界規格で義務付けられています。 OTDR の総挿入損失測定値は推定の計算値であり、実稼働のリンクで発生する総損失を必ずしも示していないため、OTDR を OLTS の代わりに使用することはできません。特に規格で入射条件が正確に制御されるマルチモード・ファイバーの場合、OTDR テストでは OLTS ほど正確な結果や反復可能な結果を得ることはできません。
多くのリンクをテストまたはテスト稼働する場合、OLTS と OTDR の速度の違いが重要な問題になります。フルーク・ネットワークスの CertiFiber Pro などの高性能 OLTS は、2 つの波長で 3 秒以内にデュプレックス・リンクを測定します。フルーク・ネットワークスの OptiFiber Pro などの高速 OTDR でも、光ファイバーの特性の評価に少なくとも 12 秒かかります。ただし、OTDR を使用して正確な測定を行うには、光ファイバーを反対方向でテストする必要があります。これは OptiFiber Pro の SmartLoop™ 機能を使用して簡単に実行できますが、入射側試験用ファイバーの交換に 12 秒以上を要し、OLTS を使用したテストに比べて、少なくとも 10 倍の時間がかかります。
一方で、OTDR を使用して光ファイバー・リンクがテストに合格すれば、OLTS を使用する必要があるでしょうか? この質問に簡単に回答することはできません。まず、個々のプロジェクトの仕様に従う必要があることを理解することが重要です。仕様に OTDR による特性評価(TIA 規格の Tier 2 テストと ISO/IEC 規格の拡張テスト)の要件がある場合は、OLTS 挿入損失テストとともに OTDR が必要になります。指定がない場合、OTDR テストは必須ではありませんが、配線距離の短い新しいシングルモード・アプリケーションにおいて特性を正確に評価し、反射率を計算するために、業界規格と専門家によって OTDR の使用が強く推奨されています。実際には、損失バジェットがこれまでになく厳しくなり、エラーが許容されなくなっているため、多くのネットワークの所有者や設計者は、総損失バジェットだけでなく、OTDR でのみ検証できる個々のスプライスとコネクターの損失バジェットも設定しています。
また、OTDR の特性評価は OLTS の挿入損失テストの前に実施することが推奨されます。OTDR では各スプライスとコネクターの数、位置、および性能を測定できるため、ネットワークを稼働した後ではなく、OLTS を使った最終的な挿入損失テスト前の設置段階で問題を修正できます。さらに、OLTS による最終的な挿入損失テストの結果はコンプライアンスの最終検証に必要であるため、テストが失敗して、OTDR を使用してトラブルシューティングする必要がある場合は、OLTS を使用して再テストを実行する必要があります。両方のテスターを推奨どおりに使用する場合にも、テスト前のクリーニングと光ファイバー端面の点検は必ず必要です(サイドバーを参照)。
OLTS と OTDR: 統合されたドキュメントでさらに改善
OLTS と OTDR の両方を使うことで、完全なテスト実施できるだけでなく、包括的な記録によって技術者を保護することもできます。イベント・トレースと総損失測定によって、設置時のコンプライアンスを徹底することで、後に性能問題が発生した場合にも、技術者が適切な作業を行ったことを立証できます。
さらに、技術者と顧客は各リンクのトレース記録を確認することで、いつ、どこで、どんな問題が発生したかを正確に特定して、簡単にトラブルシューティングすることができます。たとえば、テスト時に取得したトレースを新しいトレースと比較することによって、新しいイベントの発生原因が不適切なケーブル管理であるのか、汚れによって時間の経過とともに接続点の損失が増加したのか、またはその他の設置後の問題であるのかを容易に確認できます。
技術者は OLTS と OTDR を選択する際に、テスト結果とレポートが分かりやすく表示される、使いやすいツールを選ぶ必要があります。また、両方のテスターの結果をアップロードできるクラウドベースのサービスなど、テスト管理サービスや記録サービスを使用して、プロジェクトごとに両方のテスターの結果を単一のテスト・レポートに統合できれば非常に有益です。OLTS と OTDR の両方の結果を統合し、包括的な記録を保持することで、顧客満足度の向上、技術者の保護、ケーブル設備稼働後の効率的なトラブルシューティングを実現できます。
最後に、OLTS テストと OTDR テストの違いやそれぞれのメリットを理解することは重要ですが、完全な光ファイバー・テストを実施するには、これらの対象の異なる測定の併用が必要であることを認識しなければなりません。OLTS と OTDR を使用し、両方の結果を統合して記録することで、非常に大きなメリットを得ることができます。
付録 :クリーニングと検査は当然行う作業です
Tier 1 テストに OLTS のみを使用しているか、Tier 1 または拡張テストに OLTS と OTDR の両方を使用しているかにかかわらず、クリーニングと点検を工程に必ず含める必要があります。汚れた接続点は、光ファイバーに関連する問題とテストの失敗の一番の原因です。ファイバー・コアの 1 つの粒子が損失と反射の原因になることがあります。OTDR は汚れた接続点を検出しますが、設置前に端面のクリーニングと点検によって、テスト時間を短縮し、精度の低下を軽減できます。
新しい光ファイバーの端面であっても、工場で終端処理されたプラグやピグテールであっても、嵌合する前に必ずすべての端面を検査して清浄度を確認する必要があります。これには、テスト基準コード、ファイバーのジャンパー、事前に終端処理されたトランク・ケーブルの両端も含まれます。テスト機器に使用する交換可能アダプターにも小さな砕片が溜まることがあるため、定期的にクリーニングと点検を実施する必要があります。一部のメーカーは最近、新たに工場で成端されたコネクターの清浄度の向上に成功しましたが、袋から取り出したばかりの新品であっても、必要に応じて端面のクリーニングと点検を実施することが推奨されます。光ファイバーの端面を保護するためのダスト・カバーも、汚れの大きな原因になることがあります。
点検によってクリーニングが必要になった場合は、フルーク・ネットワークスの QuickClean™ クリーナーなどのファイバー向けに特別に設計されたクリーニング・ツールを使用することが重要です。オイルなどの落ちにくい汚れに対しては、フルーク・ネットワークスの Fiber Optic Solvent Pen など、端面のクリーニング用に特別に調合された溶剤を使用する必要があります。光ファイバー端面のクリーニングには、長年イソプロピル・アルコール (IPA) が使用されてきましたが、特別な溶剤の表面張力は小さいため、小さな砕片を包み込んで除去し、汚れを溶かす能力がはるかに高くなっています。さらに、IPA は乾くと「輪」が残って減衰の原因になるだけでなく、取り除くことが非常に困難です。クリーニングの後、端面に溶剤が残らないようにしてください。
端面のクリーニングでは、残留物が残ることのある IPA(右)よりも専用溶剤(左)の方がはるかに効果的です。
付録 :マッピングが必要な場合
OTDR トレースで光ファイバー・リンクの特性をグラフィカル表示することで、OTDR を頻繁に使用するユーザーは、入射側試験用コード、コネクター、メカニカル・スプライス、融着接続、光ファイバーのミスマッチ、およびリンクの終端の反射イベントを確認することができます。また、リンクの終端の後に表示されるわずかな上昇はゴーストであり、本当のイベントではないことも知っています。ただし、全員がトレース分析の専門家であることもなく、技術者が練習不足の場合もあります。
一部の高度な OTDR には、トレースを自動的に解釈して、コネクター、スプライス、および異常の場所を示すイベントの詳細なグラフィカル・マップを提供する高度なロジックが含まれます。イベント・マップは、トレースの読み取りに慣れていないユーザーに最適で、技術者がトレース解釈スキルの向上に有効なトレーニング・ツールにもなります。たとえば、トレースに表示されているイベントのタイプに確証がない場合は、トレースとイベント・マップを切り替えて自分のスキルを試すことによって、表示されているイベントのタイプを正確に特定できます。
屈曲は、右側のトレースに示されているように、より長い波長で損失が高くなる反射率の低下によって特性を評価します。高度な OTDR は、このようなイベントを認識し、解釈しやすい方法で表示します(左側)。