Wi-Fi 向けのケーブル配線

Wi-Fi 規格が進化し続ける理由

Wi-Fi はエンタープライズ・コネクティビティの主要な手段となり、その成長は継続しています。ワイヤレス・デバイスではストリーミング、テレビ会議、拡張/仮想現実、クラウド・コンピューティング向けに、より大きな帯域幅が必要とされます。その結果 Wi-Fi 規格は、少ない干渉で、ますます大きくなるスループットに対応するよう進化しています。

どの Wi-Fi アクセス・ポイントもケーブルで接続されていて、つまり無線には今でも多くのワイヤーが使用されています。実際には、コンテンション、干渉、距離制約などにより、Wi-Fi スループットは理論最大値の 50% 以下になります。50%を達成し、将来のデータレートに対応するには、アクセス・ポイントに接続された適切なケーブルが必要です。

 

内容

 

進化し続ける高速 Wi-Fi 基準

現在のほとんどの Wi-Fi 導入は最新の IEEE 802.11ax 規格、Wi-Fi 6 を満たしています。これは速度が Wi-Fi 5の 4 倍で、より大きい容量でより多くのデバイスに接続可能です。

Wi-Fi 5 は 5 GHzの周波数帯域でしか伝送を行いませんが、Wi-Fi 6 は最大 8 つの空間ストリームを使用して 2.4 GHz 帯と5 GHz 帯の両方で伝送を行います。2.4 GHz の周波数帯域はより混雑しやすく、チャネルが少なく干渉は多くなります。しかし周波数の低さから、建材も通してより広範に優れた伝搬が可能です。このため少量のデータを長い距離送信する必要がある低速デバイス(IOT/IIOT ワイヤレス・センサー)に対応可能です。

Wi-Fi 6 も、高速アプリケーション向けの非オーバーラップ・チャネルを多く使用して混雑の少ない 5 GHz 帯を活用します。さらに Wi-Fi 6 は Wi-Fi 5 と比較し遅延が低減し、バッテリー寿命が向上し、優れた電力効率があります。

2020 年 4 月、FCC は 6 GHz 周波数帯を Wi-Fi 用途向けに開放しました。Wi-Fi 6E です。引き続き 802.11ax 規格を基盤とし、多くの低速ワイヤレス・デバイスに対応する高速アプリケーションや高密度ネットワーク向けのチャネルが加わります。6 GHz 帯は大型アリーナやスタジアムでの使用にも理想的です。

Wi-Fi は通常 2 つの Wave で展開されます。Wave 間の違いには、特別ストリームの数、アンテナ構成、チャネル帯域幅、その他の機能があります。たとえば、Wi-Fi 5 では、Wave 1 デバイスの速度は最高 1.3 Gb/s になります。Wave 2 デバイスはアンテナをアップグレードし、より幅広いチャネルを使用することで 6.93 Gb/s まで向上します。Wi-Fi 6 と次世代の Wi-Fi 7 は 2 つの Wave で展開される見込みです。

 

次世代: Wi-Fi 7

IEEE はすでに次世代の Wi-Fi を開発中です。Wi-Fi 7 (「Extremely High Throughput、またはEHTワイヤレスとも呼ばれる) は 802.11be 規格をベースに、Wi-Fi 6 および 6E テクノロジーを基盤としています。

Wi-Fi 7 は最大 16 の空間ストリームを使用して、2.4、5、6 GHz の周波数帯域で運用されます。またチャネルの帯域幅とサイズも大きくなります。下位互換性を維持しながら、異なる帯域間で送受信を同時に行えます。Wi-Fi 7の理論上の最高速度は 46 Gb/s で、予備的スループットは少なくとも 18 Gb/s と見込まれています。

 

Wi-Fi 5 のケーブル要件

  • • Wi-Fi 5 にはカテゴリー 5e、6、6A の 2.5GBASE-T または 5GBASE-T の接続が必要であり、2.5GBASE-T が Wave 1 デバイスを、5GBASE-T が Wave 2 デバイスをサポートします。

  • • エイリアン・クロストークがあるため、設置されたすべてのカテゴリー 5e または 6 ケーブル設備が 2.5/5GBASE-T をサポートする保証はありません。

  • • 既存のカテゴリー 5e と 6 のケーブル設備は 2.5/5GBASE-T に対するサポート能力を評価する必要があります。

 

Wi-Fi 6 のケーブル要件

  • • Wave 1 Wi-Fi 6 のアクセスポイントには少なくとも 1 つのカテゴリー 6A (または、リンクが 30 メートルに制限されている場合はカテゴリー 6) 10 Gb/s の接続 (10GBASE-T) が必要です。これにより、最大データレートは、9.61 Gb/s、標準データレートは 5 Gb/s になります。

  • • Wave 2 Wi-Fi 6 では、TIA-568 および IEEE 802.11ax 規格の両方で、フル・データ・レートをサポートするため、アクセス・ポイントへの接続にカテゴリー 6A を推奨しています。現在販売されている Wi-Fi 6 アクセス・ポイントのほとんどが 2 つの接続に対応するためのデュアルポート機能を備えています。

 

Wi-Fi 7 のケーブル要件

  • • Wi-Fi 7 アクセス・ポイントにはカテゴリー 6A 10GBASE-T接続が少なくとも 2 つ必要です。

  • • Wi-Fi 7 のフル・データ・レートを活用するには、4つの接続が必要です。初めから最大数のケーブルを敷設したほうが、後で追加するよりコスト効率に優れます。後で追加した場合は、初回導入時の 10 倍のコストがかかることがあります。

  • • 新しいカテゴリー 6A のケーブル設備には、 Wi-Fi アクセスポイントごとに少なくとも2つのケーブルが用意する必要があります。

  • • Wi-Fi 7 のスループットを最大限に活用するには、アクセス・ポイントごとに 4 つのカテゴリー 6A ケーブルを導入します。またはアクセス・ポイントを 25 Gb/s 以上をサポートするシングル・マルチモードまたはシングル・モードのファイバーで接続します。

ファイバー・ケーブルはアクセス・ポイントに電力を供給できないことにご注意ください。別の手段で電力を得る必要があります (詳しくは、下記の「銅線/ファイバーのハイブリッド・ケーブルを使用した Wi-Fi アクセス・ポイント給電」で説明します)。

 

MPTL を使用したシンプルなアクセス・ポイント接続

Wi-Fi アクセス・ポイントには、従来の壁板やパッチコードは必要ありません。コンピューターなどとは異なり、アクセス・ポイントを動かすことはありません。アウトレットと機器コードをなくすことで、すっきりときれいな外観となり、また安全性も高まります。

この認識から、TIA はモジュラープラグ 成端リンク (MPTL) を定義しました。このリンクはパッチパネルで始端、フィールド成端 RJ-45 プラグで終端し、アクセス・ポイントに直接接続されます。パッチパネルまたは機器コードは不要です。

この規格に対応するために、多くのメーカーが、現場で成端するモジュラー・プラグを発売しました。RJ-45 パッチ・コード型プラグの装着に慣れている方であれは、この新しいデザインは作業がずっと簡単になります。MPTL の詳細についてご覧ください

RJ-45 プラグで成端したリンクを従来のチャネル・アダプターでテストすると、遠端の嵌合された接続が除外されます。業界規格も、終端でパッチコード・アダプターを使用する、新しくより正確な MPTL テスト方法を策定しました。MPTL のテスト方法についてご覧ください。

 

Wi-Fi 向け PoE

商用敷設の無線アクセス・ポイントのほとんどは、Power over Ethernet (PoE) で給電されています。このため、電源コンセントを設置したり、別の電力供給装置を取り付けたりする必要がなくなります。Wi-Fi テクノロジーの発達に伴い、処理はより複雑になり、より高いレベルの PoE が必要になります。

たとえば、ほとんどの Wi-Fi 5 デバイスは主にクラス 3 タイプ 1 の PoE (13 W) 、またはクラス 4 タイプ 2 の PoE (25.5W) で動作します。しかし多くの Wi-Fi 6 アクセス・ポイントにはクラス6 タイプ 3 の PoE (51 W) が必要です。Wi-Fi 7 も、クラス 6 タイプ 3 の PoE が必要です。ハイエンドのアクセス・ポイントにはクラス 8 タイプ 4 の PoE (71.3 W) が必要になることが多いです。

Wi-Fi アクセス・ポイントが PoE で十分に給電されるよう、電力を供給する側の機器 (ほとんど場合スイッチ) の PoE クラスがアクセス・ポイントに対応するか確認する必要があります。PoE のクラス、タイプ、規格について、詳細をご覧ください。『PoE 設定を成功させるためのガイド』をダウンロードしてください

 

直流抵抗と、そのテストが必要な理由

電力でもっと問題になるのが配線に関することです。カテゴリー・ケーブルを使用して PoE を供給する場合、ケーブル配線の抵抗は低くなければなりません。抵抗が大きすぎると、アクセス・ポイントに達する前に電力が消費されてしまいます。

ケーブルは、ペア間とペア内の直流抵抗のバランスをとる形状でなければなりません。バランスが取れていないと、電力によって受信側の変圧機が飽和を起こし、データの伝送を妨げます。

カテゴリー・ケーブルは厳格な直流抵抗要件を満たすよう、設計、製造、テストされます。しかし、不適切な設置技術によりリンクの抵抗が大きくなることがあります。フィールド試験の規格では、認証の取得に抵抗測定を義務付けていません。

高速の10GBASE-T、より高出力のPoE、より多くのワイヤレス・デバイスの組み合わせることで Wi-Fi 6 と Wi-Fi 7 は最も重要な最新テクノロジーとなり、直流抵抗テストが必要であることを裏付けます。

 

PoE の負荷テストと高度なトラブルシューティングの詳細をご覧ください

 

銅線/ファイバーのハイブリッド・ケーブルを使用した Wi-Fi アクセス・ポイント給電

Wi-Fi アクセス・ポイントへの接続にファイバーを使用する場合、これは Wi-Fi 7の展開とともにより一般的になりますが、給電するための別の方法が必要になります。最もコスト効率の良い給電方法は、データ用のファイバー・ストランドと電力用の銅導体を含む、銅線/ファイバーのハイブリッド・ケーブルを使用することです。銅線/ファイバーのハイブリッド・ケーブルによる給電は PoE ではありませんが、米国電気工事規定によるとクラス 2 の電力制限回路とみなされます。

アクセスポイントにファイバー入力がない場合、銅線/ファイバーのハイブリッド・ケーブルは PoE メディア・コンバーターに接続して給電でき、それから PoE とデータを銅線カテゴリー・ケーブル経由でアクセスポイントに送信します。

銅線とファイバーのハイブリッド・ケーブルは高スループットと超高スループットの Wi-Fiをサポートするのに必要な帯域幅と電力を提供するだけではありません。カテゴリー銅線ケーブルの 100 メートルという制限を超える距離を延長でき、そのため倉庫、駐車場、屋外といった場所での Wi-Fi も実現します。銅線/ファイバーのハイブリッド・ケーブルを使用したWi-Fiへの給電について詳細をご覧ください

 

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