企業向け単一ペア・イーサネットへの対応準備

2019 年 3 月 20 日 / 一般、標準および認証、産業用ネットワーク

最近、単一ペア・イーサネットと新しい 2 つの 10 Mb/s イーサネット規格が話題になっています。10 Mb/s は、一昔前の技術と考えられているかもしれません。実際、1990 年代に導入された 10BASE-T の通信速度が今日の LAN で使用されることはほとんどありません。しかし、従来の 10BASE-T とは異なり、最新の 10 Mb/s アプリケーションでは、低速度、低帯域幅の様々な IoT 機器を新しい方法で使用できる可能性があります。

単一ペアで 10 Mb/s の通信速度を実現する短距離 10BASE-T1S と長距離 10BASE-T1L は、IEEE P802.3cg 10 Mb/s 単一ペア・イーサネット・タスク・フォースによって規格開発が進められており、今年発行される予定です。ご存知のように、15 m の 100BASE-T1 (802.3bw)、40 m の 1000BASE-T1 (802.3bp) など、自動車業界向けの単一ペア・イーサネット規格は既に存在しています。10 m の距離を 15 Mb/s で通信可能な 10BASE-T1S も、従来のフィールドバス通信プロトコルに代わる規格として、自動車/産業用途を対象にしています。また、10 m の距離を 1000 Mb/s で通信可能な単一ペア 10BASE-T1L では、HVAC やセキュリティ/照明制御アプリケーションで使用される低速 IoT 機器(センサー、アクチュエータ、リレーなど)を新しい方法で接続できるため、企業の商用スペースでの利用が期待されます。

詳しく見ていきましょう。

新しい規格が開発された理由

マシン・ツー・マシン (M2M) 通信の低速フィールドバスは、アプリケーションに応じて様々なプロトコル、メディア、導体のサイズ、距離、コネクター・タイプで使用されています。端子台接続は、コントローラーや機器(熱、湿気、圧力、その他の環境要因を測定するセンサーなど)、またはバルブやその他のスイッチ(リレーなど)を制御するアクチュエーターで現在最も一般的に使われています。

10BASE-T1S および 10BASE-T1L は、このように様々な機器を使用するシステムで相互稼働性を実現するために開発されました。これにより、規格に基づいた汎用配線システムとプロトコルで機器を稼働させ、最終的に専用のインターフェイスとケーブルをなくすことができます。また、10BASE-T1L では、従来型 LAN を使用するシステムへの機器の統合も可能になります。

では、4 ペア配線を使用する既存の 10BASE-T を使わないのはなぜでしょうか。理由は単純です。必要がないからです。低速機器では単一ペアしか必要ないため、不要なペアをなくして、アプリケーションと関連構成部材のコスト、ケーブル径、コネクター数を最小限に抑えるほうが合理的です。

相違点

従来の 10BASE-T アプリケーションとは異なり、10BASE-T1L では最高 10 個のインライン・コネクターを使用できます。また、混在セグメントと呼ばれる配線構造にも対応します。従来のリンク・セグメントとは異なり、混在セグメント(マルチドロップと呼ばれることもあります)では、チャネルに 2 台以上の機器を接続することができます。この構造が今後どのように活用されるかはまだわかりませんが、企業の商用スペースのビルディング・オートメーション・システムでの利用が期待されています。 

また、今日の PoE 技術と同様に、10BASE-T1L では接続された低速機器への遠隔給電も可能になりますが、単一ペア・アプリケーションであるため、2 ペアと 4 ペアのタイプ 1、タイプ 2、タイプ 3、タイプ 4 には対応しません。PoDL (Power over Data Lines) と呼ばれる 802.3bu 規格は、単一ペアで 13.6W の給電を目指しています。

類似点

その他の IEEE 企業アプリケーションと同様に、10BASE-T1L は、現在開発中の商用 TIA および ISO/IEC 配線規格によってサポートされます。For the commercial enterprise environment, ANSI/TIA-568.0-D-2 Single Balanced Twisted-Pair Use Cases and Topology and ANSI/TIA-568.5 Single Balanced Twisted-Pair Cabling and Components standards are already under development, and naturally ISO/IEC is also working on documentation to define performance parameters.

ANSI/TIA-568.5 は、1000 m/10 個のコネクター構成、4 個のコネクターを使ったより望ましい 100 m 構成(この構成は、企業環境における単一ペア・イーサネットで幅広く活用されることが予想されます)など、距離制限と帯域幅によって複数のチャネル構成を規定します。Both TIA and ISO/IEC have also already identified a single-pair connector design from CommScope for commercial enterprise environments.

さらに、リターン・ロス、挿入損失、PSANEXT、PSAFEXT、PSAACRF、TCL、ELTCL および伝播遅延など、一般的に使用される性能パラメーターを使って単一ペア・ケーブル配線の性能を検証するために、568.5 規格にはフィールド・テスターの仕様も盛り込まれます。このため、フルーク・ネットワークスはこれらの新しいアプリケーションへの対応準備を既に始めており、規格委員会に加わって、メーカーと協力して部材の開発に取り組んでいます。

これまでの規格(カテゴリー 8など)と同様に、当社は今後も規格開発に関する情報を正確に把握し、システムの導入開始に合わせて、企業向け単一ペア・イーサネット・アプリケーションのテストに役立つ機能を提供していきます。ただし、対象は単一ペアであるため、NEXT や ACRF などの一般的なペア・ツー・ペア・パラメターは必要なさそうです。

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